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2019 年度 実績報告書

スピン流-熱流変換現象を支配する長さスケールの実験的解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K21035
配分区分基金
研究機関東京大学

研究代表者

大門 俊介  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (20825434)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2020-03-31
キーワード熱流スピン流変換 / スピン流
研究実績の概要

本研究の目的は、スピン流-熱流変換現象を支配する長さスケールを実験的に明らかにすることである。スピン流の非保存性から必然的に現れる輸送現象の長さスケールを実験的に観測し、スピン流-熱流変換現象の微視的な発現機構を解明する。本目的を達成するため、本年度は、(1)スピンゼーベック効果およびスピンペルチェ効果の磁性体膜厚依存性の解明、(2)常磁性絶縁体中における長距離スピン輸送現象の解明、(3)マグノンフォノン結合を利用したスピンペルチェ信号の観測を行った。以下では、これら3つの成果の詳細を述べる。
(1)スピンゼーベック効果およびスピンペルチェ効果の磁性体膜厚依存性の解明:スピンゼーベック効果とスピンペルチェ効果の実験結果に基づき、磁性体膜厚依存性の数値解析を行った。白金/YIG接合中の温度とスピン蓄積の分布を熱拡散方程式とスピン拡散方程式を連立させることによって求め、スピンゼーベック効果およびスピンペルチェ効果のYIG膜厚依存性を導出した。白金/YIGの界面熱抵抗、熱浴との境界面も考慮に入れることで複数の理論モデルを検証した。計算で得られた理論式と実験結果の比較から、スピン流-熱流変換現象におけるスピン流と熱流の長さスケールを見出すことに成功した。
(2)常磁性絶縁体中における長距離スピン輸送現象の解明:従来スピン流を通し難いと考えられていた常磁性絶縁体がスピン流を長いスケールで輸送できることを解明した。白金/常磁性絶縁体GGG接合における非局所型スピン輸送実験の理論解析に貢献し、低温では強磁性体を上回るスピン拡散長を有することを見出した。
(3)マグノンフォノン結合を利用したスピンペルチェ信号の観測:白金/磁性絶縁体LuIGの接合系においてスピンペルチェ効果を測定し、マグノンとフォノンの混成および混成に伴う長距離スピン輸送に起因した信号増大を測定することに成功した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Magnon polarons in the spin Peltier effect2020

    • 著者名/発表者名
      Yahiro Reimei、Kikkawa Takashi、Ramos Rafael、Oyanagi Koichi、Hioki Tomosato、Daimon Shunsuke、Saitoh Eiji
    • 雑誌名

      Physical Review B

      巻: 101 ページ: 024407

    • DOI

      10.1103/PhysRevB.101.024407

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Spin transport in insulators without exchange stiffness2019

    • 著者名/発表者名
      Oyanagi Koichi、Takahashi Saburo、Cornelissen Ludo J.、Shan Juan、Daimon Shunsuke、Kikkawa Takashi、Bauer Gerrit E. W.、van Wees Bart J.、Saitoh Eiji
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 10 ページ: 1-6

    • DOI

      10.1038/s41467-019-12749-7

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] スピン流-熱流変換現象2019

    • 著者名/発表者名
      大門俊介、内田健一、吉川貴史、井口亮、Rafael Ramos、廣部大地、齊藤英治
    • 学会等名
      ナノマグネティクス専門研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] スピントロニクス熱電技術2019

    • 著者名/発表者名
      大門俊介、内田健一、吉川貴史、井口亮、齊藤英治
    • 学会等名
      スピントロニクス専門研究会
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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