研究課題
本研究では139Laの偏極中性子吸収反応を測定することにより、139LaにおけるCP対称性の破れの増幅率を決定することを目的としている。本研究には1eV程度の高エネルギー中性子を偏極することができる中性子偏極デバイスが必要不可欠であり、本年度では中性子偏極デバイス : 3Heスピンフィルターの作製環境の立ち上げと作製、および性能評価システムの開発を行った。本年度では3Heスピンフィルターの作製用真空システムの構築を行い、3Heスピンフィルター作製に十分な真空度(8x10e-8Pa)を達成した。この真空システムを使用し、4つの3Heスピンフィルターの作製した。これらを性能評価したところ、十分長い3He偏極緩和時間をもっていることが判明し、十分実用的な3Heスピンフィルターを作製することができたと言える。加えて、3Heスピンフィルターの性能評価システムとして、周波数掃引型高速断熱通過型核磁気共鳴法を用いた3Heスピン反転システムの開発、電子常磁性共鳴法を用いた3Heスピン偏極度評価システムの開発なども行った。また、中性子ビームラインに3Heスピンフィルターを導入し、3Heスピンフィルターが中性子ビームラインにおいて実用可能であることの実証も行った。これらの結果を元に日米物理学会合同核物理分科会における招待講演をはじめとした国内外における学会に参加し、成果発表を行った。これらの成果から、本年度の目標は十分達成することができたと言える。
2: おおむね順調に進展している
時間がかかる3Heスピンフィルターの作製過程、性能評価過程を最適化し、無駄なく進められたため研究を順調に進めることができたと考えている。また、国内外における研究者とのコミュニケーションを緊密化し、開発のノウハウをうまく取り入れたことも大きな要因と思われる。
十分な性能をもつ3Heスピンフィルターを開発することができたので、次年度からは3Heスピンフィルターを中性子ビームラインに導入し、物理測定を行う。また、その解析を行い、論文にまとめる。加えてさらに性能の良い3Heスピンフィルターの作製も続けていく。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Proceedings of the International Conference on Neutron Optics (NOP2017)
巻: 011018(7) ページ: 011018(7)
10.7566/JPSCP.22.011041