原生代中期の時代は、真核生物の進化や放散、およびその後の動物の出現に重要な意味を持つ時代である.当時の海洋が必須栄養塩であるリンに枯渇し、生態系活動レベルが著しく抑制されていたとの知見は、生命と地球環境の共進化を理解する上での重要な発見である.地質時代の表層環境推定は主に地質学的・地球化学的分析データに基づいて行われてきたが、本研究により、大気組成及びそれを規定する物質循環の制約という未解明の問題に対して数値モデルを用いた新しい研究アプローチの基盤が確立できたという点で、その学術的意義が大きい.
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