本研究は、すばる望遠鏡の超広視野カメラ(HSC)を用いた撮像観測によって円盤銀河の外縁部を調べて、その構造と恒星種族(年齢/金属量)と、また周囲の衛星銀河の性質を明らかにすることを目的とする。2019年度は、(1)観測の完了したM81サーベイプログラムにおける矮小銀河の性質解明、(2)インテンシブプログラムの観測遂行と得られた一部データの基礎解析を目標にしていた。 (1)データ取得と解析が完了したM81画像を用いて、領域内にある衛星銀河の構造パラメータや金属量等の性質を明らかにした。またM81銀河周辺の若い恒星集団について、古い星が含まれておらず、近年のM81銀河とM82銀河、NGC3077銀河の重力相互作用で誘発された星形成によって誕生した若い恒星系であること、またM81の衛星銀河候補を新たに2つ発見し、まとめて学術論文として出版した。そして主催したIAUシンポジウム(IAUS355)にて発表した。 (2) 2019年前期にすばる望遠鏡共同利用観測のインテンシブプログラムとして採択された「すばる近傍宇宙論サーベイ」について効率的な計画を立案して、2019年前期後期合わせて5晩の観測をキューモードで実施した。しかし天候不順等の理由により、2019年度中に取得できたデータは予定の約4割に留まったが、データの揃った対象銀河の対象領域については基礎解析を行った。
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