研究課題/領域番号 |
18H05880
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡辺 将広 東北大学, 情報科学研究科, 特任助教 (00823452)
|
研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
|
キーワード | 全方向移動 / クローラ / 進行波 |
研究実績の概要 |
本研究では,履帯上での進行波の生成により任意方向移動を可能とする超柔軟無限軌道メカニズムを構築し,高い不整地踏破性を示す移動機構の実現を目的とする.本年度は進行波を生成クローラの履帯の構成要素となる進行波生成装置・アクチュエータの開発を主に行った. まず,進行波生成装置として柔軟性や耐衝撃性に優れる流体駆動アクチュエータに着目した.複数の圧力室を順次加圧することで各節が伸縮運動を行い,蠕動運動を生成するユニットを開発した.試作実験により,簡素な構成で実現できることがわかったが,応答の遅れから推進速度が十分得られないことが明らかとなった. 続いて,進行波を機構的に生成する機械装置を2つ開発した.第1の装置は,チェーン状のリンク内に単一の螺旋状の駆動軸を配置した機構である.大きな推進速度が得られるものの,構造上耐荷重性に限界があることや,コンパクトな設計が困難な点が明らかとなった.次の第2に装置は,メッシュチューブ内に螺旋状の駆動軸を円周配置した蠕動運動生成機構である.軸対称構造で連続的な波を生成可能,全周囲に推進力を生成可能という特徴を有する.それぞれ試作した結果,モータの回転数によって速度を制御しやすいこと,地面に対して駆動力を伝達しやすいこと,剛体部品で構成されるため履帯との取り付けがしやすいなどの製作上のメリットがあることが明らかとなった. 以上の進行波により1軸方向に推進するユニットに関して,その推進原理の検証を達成したことが,本年度の成果である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である進行生成式全方向移動機構の実現で最も重要で主要な構成要素となる進行波生成装置を試作し,推進原理を実機により検証することができた.特に,螺旋を用いた機械的な進行波生成装置は,軸対称構造で連続的な波を生成可能,全周囲に推進力を生成可能という,これまでに類の無い機構であり,本研究は当然ながら移動機構,搬送機構など様々に応用可能な構造を実現することができた. 以上のように成果はおおむね当初の計画通りであり,本研究は進展していると考える.
|
今後の研究の推進方策 |
目的である進行波による全方向移動可能なクローラ機構の構築ため,今年度に開発した進行波生成装置をクローラ履帯に統合する.また,そのクローラの推進速度やペイロード,移動効率,段差乗り越え性能などの基本的な移動特性を明らかにするための実験を行い,設計手法を明らかにする. また,最終的には自律走行可能な全方向クローラを凹凸のある応用模擬環境へ導入し,走行面の軟弱さ,空間の狭さを含めた性能の評価を行い,得られた知見をフィードバックすることで研究を進める.
|