研究課題/領域番号 |
18H05893
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐竹 うらら 大阪大学, 工学研究科, 助教 (70828409)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 研磨加工 / スモールツール研磨加工 / 除去能率 / ガラスレンズ |
研究実績の概要 |
高精度非球面レンズは,カメラの画像認識精度の向上に不可欠な素子である一方,加工コストの高さから,コスト要求が厳しい産業用カメラへの導入は進んでいない.本研究は,加工コスト上昇の最大の要因である「スモールツール研磨加工における除去能率の変動」の抑制を目的とし,工具表面における“切りくずの付着”が除去能率の変動に及ぼす影響を解明したうえで,その“切りくずの付着”を抑制する方法として,工具面内の加工液流れを効果的に利用することを考え,最適な加工液流れを精確につくり出すための「加工液流れの制御ユニット」を開発しようとするものである. 今年度は,スモールツール研磨加工において,工具表面の“切りくずの付着”が除去能率に及ぼす影響を明らかにするとともに,工具表面に切りくずが付着するメカニズムを解明し,それらにもとづき,切りくずの付着を抑制する「加工液流れの制御ユニット」の開発に向けた指針を得た.具体的には,切りくずの付着と除去能率との関係を実験的に明らかにするとともに,構造解析による工具表面の応力分布解析をもとに,切りくずの排出性や剥離性が低くなる位置を調べた.そして,それらの検討結果にもとづき,工具表面上において切りくずの付着が生じやすい位置を特定し,切りくずの付着の抑制に有効な加工液流れの設計を行った.さらに,本研究で開発を目指す「加工液流れの制御ユニット」のうち,“加工液の供給・吸引機構”および“工具の加振機構”の試作を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり,スモールツール研磨加工において,工具表面の“切りくずの付着”が除去能率に及ぼす影響を明らかにするとともに,工具表面に切りくずが付着するメカニズムを解明し,それらにもとづき,切りくずの付着を抑制する「加工液流れの制御ユニット」の開発に向けた指針を得ることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに試作を行った“加工液の供給・吸引機構”および“工具の加振機構”について,実際に様々な種類のガラスレンズに対する研磨加工実験でそれらの効果を検証するとともに課題を抽出する.そして,抽出した課題にもとづき冶具を改造することで,切りくずの付着が極めて生じやすいガラス種においても十分な効果を得られるよう改良を行う. また,様々な三次元構造を形成した工具を試作し,加工中における工具表面の加工液流れをin situで観察する.流体シミュレーションを利用することで,「切りくずの付着の抑制に有効な加工液流れ」を精確に再現可能な三次元構造を検討する.加えて,開発する工具の実用化を見据え,形成する三次元構造の耐久性を評価し,使用寿命に関する課題を抽出する.そして,切りくずの付着の抑制に効果的な,かつ,実際の製造現場での使用に耐えうる耐久性を有する三次元構造を検討する.
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