研究課題/領域番号 |
18H05910
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 香川高等専門学校 |
研究代表者 |
吉岡 崇 香川高等専門学校, 電気情報工学科, 助教 (40824412)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | モーションコントロール / 産業用ロボット / 人-ロボット協調 / 力制御 |
研究実績の概要 |
工場作業者にとって安全性の高い人-ロボット協調生産システムを実現することを目的として、本研究課題では最適共振比に基づく力覚制御アルゴリズムについて理論検討および実機検証を行う。この研究目的を達成するため、本年度は①産業用ロボットの関節構造を踏襲した実機検証用ロボットアームの製作、および②最適共振比に基づくロボットアームの力覚制御系についての検討を実施した。 具体的には、まず一般的な産業用ロボットの関節構造を踏襲した実機検証用ロボットアームを設計・製作した。当初の計画では初年度は単軸のみ製作する予定であったが、金属フレームの加工外注費用を鑑みてロボットアーム全体の製作を行った。ただし、手首軸アクチュエータ部については研究計画との照会の上次年度に購入することとした。 次に、実験装置製作と並行してロボットアームの力覚制御系の理論検討を実施した。理論検討では、ロボットと接触対象の接触モデルについて担当学生と共同で解析を進め、最適共振比に基づく力覚制御アルゴリズムの設計を完了した。また、提案手法の計算機シミュレーションを実施しその有効性を確認した。 これらの実績を達成するにあたり、ロボットアームの製作費用、および関節部アクチュエータの購入費用、アルゴリズム実装用PCおよび周辺装置の購入費用を計上した。なお、評価用力覚センサの購入については本年度の研究実績を鑑みて翌年度に持ち越しとした。 翌年度以降は、製作したロボットアームに提案する力覚制御アルゴリズムを実装することにより制御アルゴリズムの有効性を実証することを計画している。これにより、提案する力覚制御アルゴリズムが安全性の高い人-ロボット協調生産システムの実用化に有効であることを確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では実機検証用ロボットアームの製作および物理パラメータ同定を実施し、提案する力覚制御アルゴリズムの実装まで完了させることを予定していた。しかしながら、ロボットアームの設計図面製作に当初想定していた以上の時間を費やしたため、ロボットアーム製作以降の計画である物理パラメータのモデリングおよび力覚制御アルゴリズムの実装は実施できていない。その一方で、実機検証用ロボットアームについては、加工外注費用の削減を主な目的として計画を前倒しして実施しており、手首軸アクチュエータ以外の製作については完了している。 また、提案する力覚制御アルゴリズムの理論検討については、接触モデルの理論解析および最適共振比に基づく力覚制御系のシミュレーションが完了しており、こちらは計画通りに推移している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度中に実施することができなかった実機検証用ロボットアームの物理パラメータ同定を優先して実施する。さらに、物理パラメータ同定が完了し次第、提案する力覚制御アルゴリズムの実装を実施する。これらの内容を翌年度に実施するため、本来翌年度に実施する予定であった計画については遅れが発生することになる。しかしながら、実機検証用ロボットアームの製作がほぼ完了しているため、当初想定していた実機検証用ロボットアームの多軸拡張に費やす時間は必要なくなっている。従って、物理パラメータ同定以降の計画遅れ分については、実機検証用ロボットアーム製作にかかる計画を前倒した分で相殺することができる。そのため、翌年度は計画通りに研究計画を進められる見込みである。
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