本研究は、繰返しせん断による微小な粒子破砕の評価を試みたものである。繰返しせん断では、載荷する荷重が小さいため粒子破砕は起こりにくいと考えられ、実際に粒度分布を確認しても実験前後においてほとんど変化は認められなかった。しかし、豊浦砂を用いた高圧条件での繰返しせん断実験を実施した際に粒子破砕と考えられる挙動を示した。そこで繰返しせん断後の粒子画像を撮影し、粒子破砕について検討を行ったところ、粒子個数による粒度分布を描くと細粒分の増加が認められ、微小な粒子破砕が起こっていることが裏付けられた(2018年度)。実地盤ではきれいな砂の状態で存在することは少ないため、細粒分を20%程度含む砂質土の繰返しせん断実験を豊浦砂と同様に行った。この土は海底地盤におけるタービダイト砂層を模擬したものである。実験の結果、豊浦砂と同様に拘束圧の増加に伴って強度低下する傾向が見られた。また、通常の粒度分布を測定しても実験前後で変化がないことも確認された。 以上の試料について粒子画像を確認すると、10μm以下の粒子が増加していることから、繰返しせん断では粒子が割れるような破砕ではなく角が取れるような破砕を起こしていると考えられる。繰返しせん断を行うごとに粒子の角が取れ、結果的にせん断強度の低下につながっているものと考えられる。このような、粒子破砕によるせん断強度低下が、大きな海底地すべりを引き起こす要因の可能性があることから、微小な破砕とせん断強度の関係性について引き続き検討を行う必要がある。
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