本研究では、様々な産業や公共事業から排出されている、土や砂に準ずる土粒子の副産物を対象として、非焼成の土成形体としての利用を目的とする。土は、水にふれると崩れたり、強度が乏しいなど広く活用するには課題も多い。そのためには、成形性、寸法精度、強度および耐水性などの向上をはかる必要がある。 本研究では、特殊土である真砂土、窯業副産物として瓦シャモット、珪砂廃土、粘土キラ、石粉、公共事業の廃棄物として下水焼却灰、浄水汚泥、を対象に、低アルカリ性で環境負荷の少ない酸化マグネシウムを加えて実験を行った。その結果以下の事柄が明らかになった。 ①練り上がり試料の状態は、全粉体に対する微粒分量と単位水量でおおよその予測が可能である。②長さ変化率は、真砂土と浄水汚泥において単位水量の増加に伴い高くなるが、全体として、固化材土比を大きくすることで収縮率は抑制できる。③圧縮強度は、浄水汚泥と2号粘土を除く全ての試料において、水固化材比と圧縮強度の関係に強い相関がある。そして、水固化材比が小さいほど圧縮強度は高い傾向にある。なかでもシャモットは比較的高い圧縮強度を得られる。④シャモット、下水焼却灰および浄水汚泥については、その特殊な性質から一般的な土とは異なる傾向となる。 実験の結果から、既報で発表した調合設計の手法、つまり試料に含まれる微粒分(特に75μm以下の細かい粒子)の割合がわかれば、成形性(試料の状態と成形方法との関係)、収縮率、圧縮強度について目標とする調合を見いだせる方法、が複数の廃棄物に有効であることが確認できた。これにより今まで、要求性能ごとに調合を検討していた試行的な実験の手間を大幅に削減することが期待できる。副産物は成形体として建築の内外装や舗装材などの外構材への利用が想定しており、そのための試作、製品化への手間を省き、廃棄物の有効利用を促進することが可能である。
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