研究課題/領域番号 |
19K21100
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 八戸工業高等専門学校 |
研究代表者 |
今野 大輔 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (00825325)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 強風災害 / 木造住宅 / 屋根葺き材 / 実変動風荷重載荷実験 |
研究実績の概要 |
本研究では,木造住宅の強風被害の低減に向けた,強風災害リスク評価手法の開発を目的とし,当該年度の研究計画として,(1)屋根部を対象とした風洞実験及び,実物大動風圧実験、(2)実物大実験結果を基にした屋根部の強風災害リスク評価,(3)わかりやすいリスク評価結果提示のための手法開発を計画した。 (1)実物大動風圧実験においては,入力荷重データ取得の為に切妻屋根をもつ建物模型に対して風洞実験を実施し,切妻屋根における屋根部の風圧分布性状を明らかにし,実物大動風圧試験の入力荷重データを取得した。実物大動風圧実験では,金属屋根葺き材の飛散メカニズムを解明することを目的として,木造住宅を対象とした屋根端部の金属屋根アセンブリ試験体を製作し,実変動風荷重装置を用いた実変動風圧および漸増荷重の載荷試験を行った。 結果として,異なる荷重を載荷した場合,静的荷重に対しては縦葺き試験体がより耐え,動的荷重に対しては縦葺き,横葺き共に同程度の耐力を示した。実際に作用する風圧は動的荷重であるため,屋根葺き材の葺き方による耐力差は少ないといえる。特に縦葺き試験体に関して,静的荷重を載荷した場合と動的荷重を載荷した場合では破壊風圧に差がみられる。このことから,静的荷重を用いた耐風性能評価と動的荷重を用いた耐風性能評価には差ができ,実現象に即した性能評価とはいえないと考えられるため,動的載荷実験の有用性が確認された。本実験においては,本研究で目的としていた金属屋根葺き材の飛散メカニズムの解明は一部達成され,また,耐力情報の拡充に寄与できたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実施した実物大動風圧実験の時期の遅れ(装置借用の都合)により,実験計画に示した(2)実物大実験結果を基にした屋根部の強風災害リスク評価,(3)わかりやすいリスク評価結果提示のための手法開発の実施が遅れている。現在期間を延長して研究を継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在,実物大動風圧実験の結果を基に,「(2)屋根部の強風災害リスク評価」を行っている。昨今の外出自粛・移動制限の状況から,地域住民を対象とした「(3)わかりやすいリスク評価結果提示のための手法開発」を実施するのは難しいと考えられるため,今後の研究の方針として,リスク評価結果の妥当性確認の為の,「過去の強風災害データとの比較検討」を研究計画に追加し遂行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験実施時期の遅れにより,参加予定の学会の時期にも遅れが生じた。期間延長を行ったが,主に学会参加費・旅費,論文投稿費として支出予定である。
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