台風や竜巻などの強風時には,屋根葺き材が飛散する被害が多く見られる。特に,近年の一般的な金属屋根の場合には,屋根葺き材の一枚一枚が長尺であるため,強風により葺き材の一部が剥離すると,そこを起点に屋根全体にも及ぶ広範囲の剥離が生じるケースが多い。さらにそれが飛散物となって他の建築物に衝突して二次被害を引き起こす恐れがある。人的被害の原因にもなる。このような被害を低減するためには,金属屋根の耐風性能を適切に評価し,耐風設計を適切に行うことが重要である。しかし,屋根葺き材メーカーが従来行っている耐風性能評価試験では,階段状荷重や脈動荷重など,簡略化された荷重を用いた試験に留まっている。そこで本研究においては,金属屋根の耐風性能評価および屋根葺き材の飛散メカニズムの解明を目的として,東北大学において製作されたPLAを載荷装置として利用し,標準的な金属屋根のアセンブリ試験体を用いた実変動風荷重載荷実験を行った。 本研究では,切妻屋根を持つ低層木造住宅の屋根部を対象とし,まず風洞実験により,屋根部に作用する風圧係数の時刻歴を取得した。続いて,得られた風圧係数時刻歴を実物大スケールの実変動風荷重に変換し,金属屋根の実物大アセンブリ試験体にPLAを用いて実変動風荷重を載荷し,試験体が破壊に至るまでの挙動と破壊性状を把握を行った。また,漸増荷重を用いた載荷実験も併せて行うことで,動的載荷と静的載荷による金属屋根の挙動や破壊性状の違いを明らかにし,金属屋根の合理的な耐風性能評価方法の検討を進めた。
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