研究課題/領域番号 |
18H05946
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
加藤 敦隆 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究員 (40826161)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 硫化物固体電解質 / 電極電解質界面 / 全固体電池 |
研究実績の概要 |
電気自動車の電源や自然エネルギー貯蔵の用途として、全固体リチウム二次電池が注目されている。全固体電池にとって電極活物質と電解質の固体どうしの接触界面をいかにして形成・保持するかが重要である。本研究では、固体-固体界面の構築に適した柔軟な固体電解質の開発を目指し、硫化物固体電解質の合成および特性評価を行った。本年度は、ボールミルによるメカノケミカル反応により柔軟な構造を付与した硫化物固体電解質を合成し、そのイオン伝導性や全固体電池への適用可能性に関する評価を行った。ボールミルにより作製したこの硫化物固体電解質の微細構造観察を行ったところ、マイクロメートルオーダーの粒径をもつ微粒子の存在が確認された。また、作製した硫化物固体電解質は、基準としたLi2S含量75 mol%、P2S5含量25 mol%の組成の固体電解質よりもイオン伝導度が低下した。X線回折測定の結果、作製した硫化物固体電解質にはイオン伝導度低下の要因となる結晶性の副生成物が含まれていることがわかった。次に、有機溶剤への溶解性を調べたところ、この硫化物固体電解質は、基準の固体電解質よりも溶解性が向上した。さらに、固体電解質の特性評価の一環として、電極活物質にLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2を用いて、この硫化物固体電解質を含む全固体電池を構築した。その結果、約150 mAh/gの初期放電容量と優れた充放電サイクル寿命が得られたため、この硫化物固体電解質が全固体電池に適用可能であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ボールミルにより目的の硫化物固体電解質の合成し、その粒径やイオン伝導性、有機溶剤への溶解性を評価することができた。また、作製した硫化物固体電解質が全固体電池に適用可能であることがわかった。一方で、副生成物によるイオン伝導性の低下が懸念であり、除去方法を検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
この硫化物固体電解質のイオン伝導性向上のため、副生成物の洗浄による除去を検討する。また、この電解質の機械的特性の評価を行う。NMRやラマン分光分析等により構造解析を行い、イオン伝導性や機械的特性との相関を調べる。柔軟な固体電解質の効果を検証するため、体積変化の大きい電極活物質を用いた全固体電池の評価を行い、高容量化・長寿命化を目指す。評価した内容は、次の合成にフィードバックして改良していく。
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