成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)はヒトレトロウイルスであるHTLV-1感染が原因となる血液悪性腫瘍である。ATLLにおいて過剰発現が認められる、細胞接着因子CADM1に対する抗体取得と、その抗体を用いた抗腫瘍薬剤の細胞内デリバリー開発を研究目的としている。 ファージディスプレイ法を用いて抗CADM1抗体の取得に成功し、CADM1陽性細胞への結合を確認した。得られた抗体は結合親和性に課題が残されており、結晶構造解析や構造に基づく計算科学的手法による親和性向上を試みた。得られた抗体に抗腫瘍薬剤の化学修飾を行なったが、薬剤の水溶性の低さとリンカー設計が今後の課題として残された。
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