研究課題/領域番号 |
18H05965
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 秋田県産業技術センター |
研究代表者 |
大久保 義真 秋田県産業技術センター, 先進プロセス開発部, 研究員 (30826532)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 電界撹拌技術 / 細胞工学 / 電気穿孔法 / 遺伝子導入法 |
研究実績の概要 |
最新の遺伝子治療などの医療技術や、バイオテクノロジーを工業的に利用する分野において、DNAやRNAなどの核酸や、タンパク質を細胞に導入する技術は必要不可欠である。これまでにこれらの導入手法は、主に動物細胞や植物細胞に用いられており、これら細胞への導入法は、前述のとおり遺伝子組み換えや、遺伝子治療などの様々な分野で極めて重要な役割を果たしている一方で、遺伝子等の導入効率面、さらに導入時に高価な薬剤を要する点、さらに導入の刺激により細胞が死活するという課題が存在している。 本研究では、これまで秋田県産業技術センターが開発してきた、撹拌子などを用いずに、非接触で液滴を3次元に撹拌する電界撹拌技術と、これまで遺伝子導入に用いられてきた、電気刺激による細胞への導入法である電気穿孔法(エレクトロポレーション)を組み合わせることで、新たな高効率細胞導入法の技術確立を行うことを目的としている。この手法は、電界撹拌により細胞とターゲット物質の混和によって凝集体が分散され、直後に電気刺激で細胞へ導入をすることによって新たな低刺激導入法が得られることが考えられる。さらに本研究により確立される新規導入法は、これまでの様々な問題をクリアする画期的なシステムになることが期待される。 現在までに、上記の新規導入法を確立するため、これまで本センターで行われていなかった、ヒトの女性由来の培養細胞である、HeLa細胞を安定的に培養する系の構築を行った。培養系の構築を行うため、HeLa細胞培養にとって、その成長に最も影響を与える、成長因子であるウシ血清(FBS)の検討を行い、概ね24時間で一度倍加するロットを選定することができ、これにより安定的な培養細胞系の確立を行うことができた。この培養細胞系の確立により、今後、実際に遺伝子導入をヒト細胞レベルで行うための評価系を構築し、遺伝子導入系の構築を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに秋田県産業技術センターでは、電界を用いることで撹拌子などを用いず、非接触で液滴を3次元に撹拌する電界撹拌技術の開発を行ってきた。本技術はすでに、がん手術における術中診断に応用され、その診断をするための時間の短縮を可能にし、術後の生活の質の向上に貢献している。 本研究では、これまで遺伝子導入に用いられてきた、ごく短時間の電気刺激を細胞に与えることで細胞膜に微細な穿孔をし、外部の遺伝子などを導入する方法である電気穿孔法(エレクトロポレーション)と、これまで開発してきた電界撹拌技術を組み合わせることで、新たな高効率細胞導入法の技術確立を行うことを目的としている。この手法は、電界撹拌により細胞とターゲット物質の混和によって凝集体を分散し、直後にマイルドな電気刺激を細胞に施すことで、新たな低刺激導入法が得られることが考えられる。また本研究により確立される新規導入法は、これまでのコストや、安全面などの様々な問題をクリアする画期的なシステムになることが期待される。 現在までに、上記の新規遺伝子導入法を確立するため、これまで本センターで行われていなかった、ヒトの女性由来の培養細胞である、HeLa細胞を安定的に培養する系の構築を行った。この培養系の構築を行うため、細胞の成長にとって極めて重要になる、ウシ血清(FBS)の検討を行い、概ね20時間から24時間で一度倍加するロットを選定することができ、これにより安定的な培養細胞系の確立を行うことができた。この培養細胞系の確立により、今後、実際に遺伝子導入をヒト細胞レベルで行うための評価系を構築し、遺伝子導入系の構築を行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、これまで遺伝子導入に用いられてきた、ごく短時間の電気刺激を細胞に与えることで細胞膜に微細な穿孔をし、外部の遺伝子などを導入する方法である電気穿孔法(エレクトロポレーション)と、これまで開発してきた電界撹拌技術を組み合わせることで、新たな高効率細胞導入法の技術確立を行うことを目的としている。この手法は、電界撹拌により細胞とターゲット物質の混和によって凝集体を分散し、直後にマイルドな電気刺激を細胞に施すことで、新たな低刺激導入法が得られることが考えられる。また本研究により確立される新規導入法は、これまでのコストや、安全面などの様々な問題をクリアする画期的なシステムになることが期待される。 これまでに、電気穿孔法と、これまで培ってきた電界撹拌技術を組み合わせた新規遺伝子導入法を確立するため、これまで本センターで導入されていなかった、ヒトの女性由来の培養細胞であるHeLa細胞を安定的に培養する系の構築を行っている。 この系を利用することで、新たな電界撹拌と電気穿孔を同時に行いえる新たな遺伝子導入法の検討を行うことができる。さらにその新規電気穿孔後の細胞にどれだけの頻度で物質が導入されるかを検討の確認をおこなう、例えば細胞への免疫染色などを新たに導入することが可能になる。 本年度においては、以下の2つの実験系を構築しようと考えている。1つ目は、先述の遺伝子導入系を評価するための免疫染色系の確立である。この系を確立することにより、今後の細胞への影響を抑えた電気穿孔の条件検討を簡便にすることが可能になる。2つ目は、遺伝子導入をするための系の確立である。この系を構築することにより、新たな遺伝子導入方法の基礎を確立することが可能になる。以上の実験系を構築し組み合わせることにより、新規遺伝子導入法を、安全面、効率面での評価とともに、作り上げることができると期待できる。
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