研究課題/領域番号 |
18H05979
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
斎藤 慎彦 広島大学, 工学研究科, 助教 (10756315)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 有機薄膜太陽電池 / 三元系 / エネルギーロス |
研究実績の概要 |
本研究では、有機薄膜太陽電池において結晶性p型半導体ポリマーとフラーレン誘導体であるPCBMの二元系ブレンド膜に少量の第三成分として長波長吸収を有する非フレーレンn型材料を添加した少量添加型三元系にすることで効率を向上させることを目指す。 H30年度は第三成分となる非フレーレンn型材料の合成検討と既存の数種類の非フレーレンn型材料を第三成分材料として添加する検討を行った。結晶性p型半導体ポリマーとしてはチアゾロチアゾール系半導体ポリマーPTzBTを用いた。 非フレーレンn型材料として用いたIEICO-F4や3TT-FICは吸収波長が約950 nm程度まであり、近赤外光まで吸収することができる。これらの材料を第三成分材料として用いて少量添加型三元系太陽電池を作製、評価したところ変換効率は9%程度ではあるが、外部量子効率は非フレーレンn型材料の領域でも50%程度までは発電しており、開放電圧(VOC)-バンドギャップ(Eg)で定義されるエネルギーロス(Eloss)は0.47 eVまで低下することが明らかとなった。また、第三成分材料として二種類のことなる吸収帯を有する非フレーレンn型材料(ITICとIEICO-F4)を添加した少量添加型四元系太陽電池にすることで9.0%の変換効率と0.45 eVと非常に低いElossを達成した。少量添加型では第三成分材料が少量で良いため、複数の種類の材料を添加することや、PTzBTとPCBMの二元系の混合膜の形状をある程度維持していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有機薄膜太陽電池の変換効率向上のボトルネックの一つと考えられているElossを低下させることが本研究の少量添加型三元系太陽電池で可能であることが明らかとなった。そのため、より第三成分材料として適した分子を開発することで、さらなる変換効率の向上とElossの低下が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
H31年度は表面エネルギーを制御した非フレーレンn型材料の開発に注力する。開発した材料の構造最適化を進め、物性解明、デバイス評価を行う予定である。また、一方でElossを低下させるといった観点からHOMOが深く、高いVOCが期待できるp型半導体ポリマーと近赤外まで吸収をもつ非フレーレンn型材料を用いた少量添加型三元系太陽電池を作製、評価する予定である。
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