研究課題/領域番号 |
18H05984
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
久野 恭平 立命館大学, 生命科学部, 助教 (30822845)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 偏光発光 / 分子配向 / 液晶 / フィルム / 光学素子 |
研究実績の概要 |
本研究は,単一素材かつ一枚のフィルムでありながら,直線偏光や円偏光など多彩な偏光モードで白色発光する材料の創製を目標としている。本目標が達成できれば,超解像イメージングやAR(拡張現実)などの最先端イメージング技術のさらなる発展に結実しうる。 本年度は,分子配向と発光の偏光モードとの関係性を詳らかにするための第一段階として,液晶性発光材料をベースとし多種多様な分子配向構造制御を施すことで,ナノ・マイクロオーダーの微細な分子配向構造が精密に制御された分子性材料の創製を試みた。光重合や熱重合など様々な重合手法を利用することにより,液晶分子がらせん状に1次元方向に周期配列したコレステリック液晶や,2次元的に配列したサイクロイド配向・放射状配向液晶高分子,3次元的に配列したコレステリック液晶高分子微粒子など1~3次元で分子配向が制御された液晶フィルムの創製に成功した。例えば,可視光全域にわたりマルチカラー発光を示す発光材料を,1次元方向に周期配列したコレステリック液晶フィルムに添加した系おいては,らせん状配向の周期構造に応じて任意の波長において極めて純度の高い円偏光発光が可能であることを見出した。 本研究で創製した多次元で配向制御されたフィルムの結果に鑑みれば,有機合成的アプローチにより発光特性に優れた分子を合成し,分子配向制御により偏光モードを付与するといった機能分離に基づく材料設計を利用することで,自在な偏光モードを示す革新的な白色偏光発光フィルムの実現が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
様々な重合手法を利用することで,1~3次元にわたり精緻に分子配向制御されたフィルムを創製することに成功しており,いくつかの結果について論文発表・学会発表を行うとともに,現在論文発表に向け成果を纏めている。また,分子配向構造と発光の関係については部分的には明らかにできたが,まだ検討段階の分子配向構造もある。したがって,おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
偏光発光材料の創製にあたり多種多様な1~3次元配向性液晶材料の創製に成功している。そのため,昨年度に続き,分子配向構造と偏光モードの関係性について詳細な検討を進める予定である。加えて,従来法では作製困難であった配向性材料が,特異な光機能(回折・反射・散乱)を示すことを見出した。そのため,偏光解析に加えて,その他の光機能についても検討を進めることで,多彩な光機能材料の創製を目指す。
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