研究課題
人工光合成系の構築には高活性な酸素発生触媒が必要不可欠である。本研究では、(1)分子内O-Oカップリング機構に立脚した高活性な酸素発生錯体触媒群の開発、(2)天然の光合成の酸素発生中心の構造に着想を得た異種金属二核錯体の合成と酸素発生触媒機能の評価に取り組んだ。二つの金属イオンが近接可能な平面四座配位子と長鎖アルキル基を導入したターピリジン補助配位子を有する新規Ru 二核錯体を合成し、アルキル鎖と炭素電極間の疎水性相互作用を用いた錯体修飾アノードを作製した。錯体修飾アノードはリン酸緩衝液(pH = 7.0)中において280mV の小さい過電圧で酸素発生反応を促進し、定電位電解実験では、30 時間にわたって安定な触媒電流が観測された。実験的および計算化学的解析から、本錯体が分子内のカップリング機構によってO-O 結合を形成していることを明らかにした。平面四座配位子を有するRu単核錯体とIr、Fe、Co およびMnなどの金属(M)単核ターピリジン錯体を反応させることによって、新規Ru-M異種金属二核錯体の合成を試みた。その結果、Ru-Ir異種金属二核錯体の合成と同定に成功した。
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