研究課題/領域番号 |
18H06014
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
鮎川 侑 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別研究員 (80824474)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | キャベツ萎黄病菌 / 小型染色体 / ゲノム解析 / 宿主特異性 |
研究実績の概要 |
土壌病原菌Fusarium oxysporumは、100 種以上の植物に対して病原性を示すが、宿主特異性が分化しており、菌株によって宿主植物が異なる。しかし、宿主特異性の決定機構は明らかでなく、宿主-病原菌相互作用機構の解析も進んでいない。近年、トマト萎凋病菌(F. oxysporum f. sp. lycopersici)の小型染色体が宿主特異性の決定に関与することが示唆されている。そこで、本研究ではシロイヌナズナやキャベツなどに病原性を示すキャベツ萎黄病菌(F. oxysporum f. sp. conglutinans)の小型染色体に座乗する遺伝子の発現解析および、宿主特異性決定に関与する遺伝子の特定を通して、F. oxysporumの宿主特異性決定機構のモデル系を確立することを目指す。 キャベツ萎黄病菌の野生株のゲノム解析を実施し、クオリティーの高いゲノム配列を得た。また、キャベツ萎黄病菌から得た複数の小型染色体喪失株のゲノム解析を行い、野生株のリファレンスゲノムとマッピングすることで、それぞれの欠損ゲノム領域(小型染色体)を特定した。小型染色体喪失株の病原性の表現型と合わせることで、シロイヌナズナおよびキャベツそれぞれへの病原性に必要と思われるゲノム領域の特定に成功した。さらに、トランスクリプトーム解析によって、キャベツ感染時に発現する小型染色体上の遺伝子を特定した。今後、シロイヌナズナ感染時に発現する小型染色体上の遺伝子を特定し、シロイヌナズナおよびキャベツそれぞれのエフェクター遺伝子の同定および機能解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全ゲノムシーケンスによる、キャベツ萎黄病菌の野生株と複数の小型染色体喪失株の比較ゲノム解析を行い、それぞれの欠損ゲノム領域(小型染色体)を特定した。さらにトランスクリプトーム解析によって、キャベツ感染時に発現する小型染色体上の遺伝子を特定した。また、シロイヌナズナ感染時のキャベツ萎黄病菌のトランスクリプトーム解析の準備もできている。
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今後の研究の推進方策 |
キャベツ萎黄病菌を感染させたシロイヌナズナのトランスクリプトーム解析を行う。小型染色体に座乗する遺伝子のうち、シロイヌナズナおよびキャベツ感染時に発現する遺伝子を選抜する。選抜した遺伝子が、宿主特異性の決定に必要か調査するために、当該遺伝子を小型染色体喪失株や非病原性菌株へ導入、または野生株で欠損させ、病原性を調査する。以上の解析を通して、宿主決定に関与する遺伝子を同定して論文として報告する。
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