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2018 年度 実績報告書

木材の化学処理と熱処理のツーステップ処理による寸法・物性安定化

研究課題

研究課題/領域番号 18H06021
配分区分補助金
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

関 雅子  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究員 (70630820)

研究期間 (年度) 2018-08-24 – 2020-03-31
キーワード木材 / 化学処理 / 熱処理
研究実績の概要

本研究では、木材の吸水・脱水による寸法や物性の変化を抑制するための手段として、寸法安定化処理として知られる化学処理と熱処理を組み合わせた「ツーステップ処理」(すなわち化学処理木材の熱処理)を検討する。木材の吸湿性や寸法安定性などのマクロ物性の変化に及ぼすツーステップ処理の影響を明らかにするとともに、それらマクロな性質とナノレベルの微細構造の関係を明らかにすることを目的として検討を進めている。
今年度は化学処理としてアセチル化処理に着目した検討を実施してきた。アセチル化処理は木材中の水酸基を低極性のアセチル基に置換する処理であり、木材の寸法安定化処理として一般的である。スプルース木片を用いてアセチル化処理を行い、その処理木材を140℃~200℃で熱処理したツーステップ処理木材を作製した。その試料を用いて、相対湿度を段階的に変化させて含水率と膨潤率を測定し、吸湿性と寸法安定性を評価した。その結果、アセチル化処理と熱処理を併用することで、単独の処理よりも木材中への吸湿が抑えられ、寸法安定性が向上することがわかった。
微細構造評価に関しては、木材細胞壁内の細孔が水分子の侵入経路となりうると予想し、ガス吸着法により乾燥木材の細胞壁中の細孔径分布を評価した。その結果、アセチル化処理木材の方が無処理木材よりも、ミクロ孔領域の細孔容積が大きいことがわかった。また、熱処理により細孔容積が増加すること、その増加はアセチル化木材よりも無処理木材の方が顕著であることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アセチル化処理と熱処理のツーステップ処理について、吸湿性と寸法安定性の評価を完了し、効果を確認することができた。
ガス吸着測定による微細構造評価については、当初予定していた測定条件と解析方法の選定を完了し、ツーステップ処理木材の細孔径分布の評価まで検討を進めることができた。

今後の研究の推進方策

ガス吸着測定による細孔径分布と吸湿性との相関は現在のところ認められていない。そのため、ツーステップ処理による吸湿性低下と寸法安定化のメカニズムを考察するために、FT-IR、X線回折、熱分析等により、より多面的に微細構造評価を進める。アセチル化以外の化学処理についても検討を行いながら、より効果的なツーステップ処理条件を検討する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Fluidity of Bulk Bamboo Impregnated with Phenol Formaldehyde (PF) Resin2018

    • 著者名/発表者名
      Masako Seki, Yuko Yashima, Tomoaki Kiryu, Tsunehisa Miki, Soichi Tanaka, Kozo Kanayama
    • 学会等名
      2018 Joint Convention SWST & JWRS
    • 国際学会
  • [学会発表] Esterification of Solid Wood for Plastic Forming Process2018

    • 著者名/発表者名
      Yukiko Enomoto, Mitsuru Abe, Tsunehisa Miki, Masako Seki
    • 学会等名
      2018 Joint Convention SWST & JWRS
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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