研究課題/領域番号 |
18H06026
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
宮坂 加理 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (00780173)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 土壌中の溶質拡散 / 乾燥土壌 / 土壌の電気伝導度 / 凍結土壌 |
研究実績の概要 |
土壌水中の溶質拡散係数(D)は、低水分時には特定の水分以下ではDがθの4乗に比例し、著しく溶質拡散が抑制されるとの報告がある。この要因として、固相表面電荷によるイオン排除の影響が示唆されていたが、申請者の行った実験により否定された。そこで、低水分時に溶質拡散が抑制されるのは土壌水の連続性が失われ、水膜の薄い部分が拡散を抑制するためだと考えた。本研究では、土壌の乾燥過程は凍結過程と似ている点から、低水分時に水膜の薄い部分が拡散を抑制したためにDが著しく低下したならば、飽和土壌を凍結させていったときの液状水の量とDの関係においても同様の結果が得られると仮定した。以上から、本研究では、仮説「低水分時の土壌水中の溶質拡散は土粒子に着した水膜の薄い部分(ネック)によって著しく低下する」を検証することを目的としている。 2018年度では、実験で用いる土壌試料の準備および、実験装置の準備を行った。 実験試料としては、国内の畑地土壌、標準砂、そして乾燥地の3種類の土壌とジルコニアビーズを用いる予定であり、すでに畑地土壌および標準砂、そしてジルコニアビーズについては準備を整っている。 また、溶質拡散係数の測定では土壌の電気伝導度測定から推定する予定であるが、土壌の電気伝導度測定の実験装置の準備および予備実験を行った。 不透水分量の測定に関しては、NMRを用いて測定する予定であり、大阪大学に依頼し分析をお願いする予定である。すでに大阪大学には連絡を取っており、早急に打ち合わせを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度中に、飽和土壌における凍結時の温度と不凍水分量の関係をNMRを用いて測定する予定であったが、土壌試料の準備が間に合わず、2019年度に持ち越された。 現在、土壌の一部を除いて、準備が終わったため、随時測定を始める予定である。 また、現時点でNMRの測定についても目途が立っており、2019年度初頭に実験を行い始める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
仮説「低水分時の土壌水中の溶質拡散は土粒子に付着した水膜の薄い部分(ネック)によって著しく低下する」を検証するために、飽和土壌を凍結させていく過程の溶質拡散係数(D)と液状水との関係も測定する。 今後の研究の流れとしては、 1.土壌試料の収集および土壌の物理特性の測定を行う。2.NaCl水溶液水分量をを異なる濃度で3種類用意し、各試料を小分けし、それぞれに10通りの水分量に相当するように溶液を投入しよくかき混ぜ均一にし、均一の密度で容器に詰める。3.25℃のチャンバー内に設置し、各土壌電気伝導度のを測定を行う。土壌試料3種類、溶液濃度3種類、そして水分量は各10種類の計90試料を扱う。4.土壌の電気伝導度の結果から溶質拡散係数を算出する。5.別途、同様の溶液濃度で飽和に調整した各土壌試料を、NMRを用いて-30度から20度の範囲で測定を行い、温度と不凍水分量の関係を求める。6.(5)と同様の飽和土壌試料を用いて、チャンバー内の温度を-30度から20度の範囲で土所の電気伝導度の測定を行う。7.(5)で出た温度と不凍水分量の関係と(6)で出た温度と溶質拡散係数の関係から、不凍水分量と溶質拡散係数の関係を算出する。8.(4)で求めた水分量と溶質拡散係数との関係と、(7)で求めた不凍水分量と溶質拡散係数との関係を比較する。 (1)に関する土壌試料は、国内の畑地土壌、標準砂、そして乾燥地の土壌を用いる。乾燥地の土壌については、カウンターパートと話がつき、諸手続きを行った後にモンゴルの草原に採取しに行く予定である。(4)では、申請者は庄内砂丘砂を用いて、溶質拡散係数が土壌の電気伝導度から算出しえることを示していることから、同様の方法で算出する予定である。(5)NMRによる測定は、大阪大学に依頼し分析をお願いする予定である。すでに大阪大学には連絡を取っており、早急に打ち合わせを行う予定である。
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