研究課題/領域番号 |
18H06031
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山本 祥也 広島大学, 生物圏科学研究科, 助教 (90825845)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | オリゴDNA / 血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ / DNanocap / 機能性食品 / 自由摂取 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、機能性核酸として知られるオリゴDNA(ODN)を用いて「敗血症」に対して有効な機能性食品を創製することである、申請者は免疫増強型ODN(CpG ODN)の内、Class Aに属するCpG ODN1585(CpG-A1585)が敗血症の発症において中心的な役割を果たす血小板活性化因子(PAF)を分解する酵素(PAF-AH)を強力に誘導することを見出した。また2つの敗血症モデルにおいて、CpG-A1585の腹腔内投与が敗血症症状の重症化を防ぐことを発見した。 本研究では、まずマウス脾臓細胞あるいはヒトマクロファージ(THP-1)細胞とClass A CpG ODNのin vitro共培養試験を実施し、PAF-AH関連遺伝子Paf-ah2をリアルタイム定量PCR法を用いて解析した。Class A CpG ODNにはマウスTLR9特異的なCpG-A1585とヒトTLR9特異的なCpG ODN2216(CpG-A2216)、CpG ODN2336(CpG-A2336)およびCpG ODN D35(CpG-AD35)を用いた。マウス脾臓細胞において、コントロールODNであるODN1612と比較してCpG-A1585およびCpG-A2336は有意にPaf-ah2発現量を増加することを確認した。一方、ヒトTHP-1細胞では、ODN1612と比較して用いた全てのClass A CpG ODNが有意にPaf-ah2発現量を増加することを確認した。 また、CpG-A1585のカプセル体(CpG-A1585cap)を含む特別飼料を調製し、4および8週間の自由摂取試験を実施し、血清PAF-AH活性を測定した。CpG-A1585を含まないCap含有特別飼料摂取マウスと比較してCpG-A1585cap含有特別飼料摂取マウスでは4および8週間で血清PAF-AHの有意な増加が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、①マウスあるいはヒト免疫細胞におけるClass A CpG ODNのPAF-AH誘導能解析と②CpG-A1585capの自由摂取試験を当初の計画としていた。①マウスあるいはヒト免疫細胞におけるClass A CpG ODNのPAF-AH誘導能解析については、ヒト血液由来の末梢血単核球(hPBMC)を用いる計画であったが、ヒト免疫細胞におけるClass A CpG ODNのPAF-AH誘導能の解析という目的をより容易に解析できることから、使用する細胞をTHP-1細胞に変更して実施した。結果として、マウスあるいはヒトTLR9特異的な4種のClass A CpG ODNがそれぞれマウス脾臓細胞あるいはヒトTHP-1細胞においてPAF-AH関連遺伝子発現を誘導するという当初の予想以上の成果を得ることが出来た。②CpG-A1585capの自由摂取試験では、当初計画していた12週間の自由摂取よりも早い4週間の自由摂取で血清PAF-AHを誘導できることを発見した。以上のため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度(令和元年)は引き続き、①マウスあるいはヒト免疫細胞におけるClass A CpG ODNのPAF-AH酵素活性解析と②CpG-A1585capの1および12週間の自由摂取試験のPAF-AH活性の解析を実施する。またDNAマイクロアレイを用いて、脾臓における遺伝子発現パターンの網羅的な解析を行い、CpG-A1585により誘導される免疫関連因子の解析を行う。さらにCpG-A1585capの12週間の自由摂取後、③エンドトキシンショックおよび④播種性血管内凝固症候群の予防効果について検証し、敗血症を予防する機能性食品の創製に繋がる詳細な検討を行う。
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