研究課題
本研究では、哺乳類の発情行動の制御メカニズムを明らかにすることを目的として、ラットの発情行動であるロードシスに関与することが示されている視床下部に局在する性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)ニューロンに着目して研究を行なった。キスペプチンは視床下部からのGnRHの分泌を上位で制御する神経ペプチドである。これまでにキスペプチンをコードするKiss1遺伝子を欠損したKiss1ノックアウトラットの雌が、発情前期を模したエストロジェン負荷によりロードシスを示すことを示してきた。本研究ではKiss1ノックアウトラットおよび野生型ラットの発情モデルの雌を雄と1時間同居させロードシスを観察した。その後、脳をサンプリングし神経細胞の活性化マーカーとしてc-FosおよびGnRHを免疫組織科学により染色した。野生型ラットでは70%程度のGnRHニューロンにc-Fosが共発現していた。一方で、Kiss1ノックアウトラットのGnRHニューロンにはほとんどc-Fosが発現していなかった。これらの結果から、発情行動に関与するGnRHニューロンはキスペプチンにより制御される可能性が高いと考えられる。キスペプチンは繁殖の成立に必要な視床下部-下垂体-性腺軸からなる生殖内分泌系と発情行動の両方を、GnRHニューロンを介して制御することが示唆された。また、一連の研究を通じて発情行動発現時に活性化するニューロン群を視床下部および扁桃体に発見することができた。今後、当該ニューロンの発情行動へ及ぼす影響について明らかにしていく予定である
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
Journal of Reproduction and Development
巻: 66 ページ: 135~141
https://doi.org/10.1262/jrd.2019-111
巻: 65 ページ: 515~525
10.1262/jrd.2019-087
Frontiers in Endocrinology
巻: 10 ページ: -
https://doi.org/10.3389/fendo.2019.00312