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2018 年度 実績報告書

エキソソームの多様性を生み出す細胞内小胞輸送経路の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18H06039
配分区分補助金
研究機関東北大学

研究代表者

松井 貴英  東北大学, 生命科学研究科, 助教 (10827794)

研究期間 (年度) 2018-08-24 – 2020-03-31
キーワードexosome / 細胞外微粒子 / Rab / endosome
研究実績の概要

エキソソームは細胞外小胞の一種で、細胞中の多胞体が細胞膜と融合することで細胞外へと分泌される。近年、単一の細胞から多種のエキソソームが分泌されることが知られている。しかし現在までに、どのように多様なエキソソームが形成され、細胞外へと輸送、分泌されるのかほとんどわかっていない。
本研究では、密着結合により物理的に隔てられた二種類の性質の異なる細胞膜(頂端膜と側底膜)を持つMDCK細胞を用いて、頂端膜と側底膜のそれぞれから分泌されるエキソソームが性質が異なるものなのか、その多様性はどのように生まれるのかを明らかにしようとしている。
今年度はまず、頂端膜と側底膜から分泌されるエキソソームを生化学的に精製し、質量分析を用いたプロテオーム解析を行い、実際に頂端膜エキソソームと側底膜エキソソームではタンパク質組成に違いがあることを確認した。さらに、電子顕微鏡及び、ナノ粒子トラッキングを用いた形態学的な解析から、頂端膜エキソソームと側底膜エキソソームでは、その小胞サイズに違いがあることがわかった。以上の結果から、頂端膜エキソソームと側底膜エキソソームは性質の異なる小胞であることが明らかとなった。
単一細胞から頂端膜エキソソームと側底膜エキソソームという異なるエキソソームを分泌するためには、性質の異なる多胞体が形成され、それぞれが頂端膜か側底膜へと選択的に輸送される必要がある。申請者は特に各細胞膜への選択的な輸送経路を明らかにしたいと考えている。そこで細胞内小胞輸送の制御因子である低分子量G蛋白質Rabに注目した。所属研究室で所有している各RabをKOしたMDCK細胞のライブラリーを用いて頂端膜エキソソームと側底膜エキソソームの分泌に影響を示すRab KO細胞のスクリーニングを行い、いくつかの候補Rabを同定することに成功した。これらの候補について、現在その機能解析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、平成30年度は頂端膜エキソソームと側底膜エキソソームの(生化学的、形態的)性質の違いを明らかにした。さらにエキソソームの極性分泌に関与する低分子量Gタンパク質Rabのスクリーニングを行い、候補Rabを同定することにも成功している。
以上から、本研究は概ね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

現在、スクリーニングにより得られた候補Rabの機能解析を行っている。一般的にRabが細胞内輸送を制御するには、エフェクターと呼ばれる結合分子との相互作用が必須である。しかし申請者が同定した候補Rabのエフェクター分子に関しては、ほとんど報告が無い。そこでGSTプルダウン法、及び酵母2ハイブリット法を用いて候補Rabの特異的エフェクターを探索する。得られた候補結合分子に関してはノックアウト、もしくはノックダウンを行い候補Rabのノックアウトと同様の表現型が観察されるか検討し、候補Rabとの結合の必要性を明らかにする。
また、単一細胞から頂端膜エキソソーム、側底膜エキソソームという異なるエキソソームが分泌されるには、異なるエキソソームを含んだ異種の多胞体が細胞内で形成される必要がある。そこで行き先の異なる多様な多胞体が細胞内でどのように形成されるのかを明らかにする。具体的には多胞体形成に必須とされているESCRTタンパク質群や、ESCRT非依存的に多胞体形成に関与する脂質の一種セラミドの合成酵素をノックダウンした際の、頂端膜エキソソームと側底膜エキソソームの分泌への影響を検討する。
最終的に、得られた結果をまとめ、学会発表、論文発表を行う。

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公開日: 2019-12-27  

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