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2018 年度 実績報告書

陸上植物全般に存在する分裂面制御の分子メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 18H06058
配分区分補助金
研究機関基礎生物学研究所

研究代表者

幸節 健  基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, NIBBリサーチフェロー (20821482)

研究期間 (年度) 2018-08-24 – 2020-03-31
キーワード細胞分裂面制御 / フラグモプラスト / Auroraキナーゼ
研究実績の概要

動植物ともに、細胞がどの方向に分裂するかは、正常な発生に大きな影響を与える。被子植物において、プレプロフェーズバンド(PreProphase Band, PPB)が細胞分裂面の決定に必要であることが考えられてきた。しかし、PPB非依存的に細胞分裂面決定がなされることが近年報告されており、未知の分裂面制御機構の存在が示唆されている。本研究は基部陸上植物ヒメツリガネゴケを用いてPPB非依存的な分裂面制御機構の解明を目的とする。この目的達成のために、1,脂質と、細胞骨格を制御するアクチン結合タンパク質、微小管関連因子のライブセルイメージング、2,真核生物に広く保存される細胞分裂に必須なAurora キナーゼに着目した研究を行なった。
(これまでの成果)
1,脂質と、細胞骨格を制御するアクチン結合タンパク質、微小管関連因子のライブセルイメージング
ホスファチジン酸が細胞質分裂時の細胞板に局在し、細胞分裂後も隔壁に局在することを見出した。この結果はホスファチジン酸が細胞の極性の情報となり、細胞分裂軸制御をする可能性を示唆している。
2,真核生物に広く保存される細胞分裂に必須なAurora キナーゼに着目した研究
Auroraキナーゼの相互作用因子をLC/MS/MS解析によって複数同定した。その一つ遺伝子(Ilp1と命名)が、PP2A regulatory subunitと相互作用することを見出した。Ilp1がAuroraキナーゼと、PP2Aホスファターゼと相互作用することから、Ilp1がキナーゼ活性とホスファターゼ活性のバランスを取り、細胞分裂面制御をしている可能性を見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

分裂面制御機構の解明するために、1.脂質と、細胞骨格を制御するアクチン結合タンパク質、微小管関連因子のライブセルイメージング、2,真核生物に広く保存される細胞分裂に必須なAurora キナーゼに着目した研究を行なった。
1,脂質と、細胞骨格を制御するアクチン結合タンパク質、微小管関連因子のライブセルイメージングについて
PIP2、PIP4、およびホスファチジン酸を可視化する形質転換体を作製した。ライブセルイメージングの結果、ホスファチジン酸が細胞質分裂時に細胞板に局在する結果が得られた。シロイヌナズナの微小管結合タンパク質であるMAP65-1は、ホスファチジン酸と結合すること、ホスファチジン酸はアクチンフィラメントの動態に影響を与えることから、新しく作られた隔壁(細胞板)において、ホスファチジン酸が微小管が安定化、アクチンフィラメントの動態制御をすることにより細胞分裂方向の制御をしている可能性が示唆された。
2,真核生物に広く保存される細胞分裂に必須なAurora キナーゼに着目した研究
Auroraキナーゼの相互作用因子をLC/MS/MS解析によって複数同定した。その一つIlp1と名付けた遺伝子が、PPB非依存的に分裂を行う原系体において、細胞分裂面が異常になることを見出した。さらにIlp1の相互作用因子をLC/MS/MS解析を用いて同定することを試みた。その結果、ホスファターゼであるPP2A regulatory subunitを同定した。Ilp1はAuroraキナーゼと、PP2Aホスファターゼと相互作用することから、Ilp1がキナーゼ活性とホスファターゼ活性のバランスを取り、細胞分裂面制御をしている可能性を見出した。

今後の研究の推進方策

1,脂質と、細胞骨格を制御するアクチン結合タンパク質、微小管関連因子のライブセルイメージングについて
ホスファチジン酸が細胞分裂面制御に必要かどうかを明らかにするために、ホスファチジン酸の合成阻害剤、および、外からホスファチジン酸を加えて細胞骨格(微小管、アクチン)のライブセルイメージングを行う。
2,真核生物に広く保存される細胞分裂に必須なAurora キナーゼに着目した研究
Ilp1と相互作用する因子として取られたPP2A regulatory subunitに蛍光タンパク質であるCitrineを融合させ、その細胞内局在を解析する。またPP2A regulatory subunitを誘導型RNAiノックダウンを用いて機能阻害し、細胞分裂面への影響を解析する。さらにPP2A regulatory subunitの局在が明らかになった時点で、ILP1の誘導型RNAiノックダウン株を作成し、PP2A regulatory subunitの局在を解析する。またAuroraキナーゼに関しても、ILP1の誘導型RNAiノックダウン株を作成し、その局在を解析する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Elucidation of the Aurora kinase function during mitosis and cytokinesis in Pyscomitrella patens2019

    • 著者名/発表者名
      Ken Kosetsu, Bert De Rybel, Mitsuyasu Hasebe, and Daniel Van Damme
    • 学会等名
      The 66th NIBB Conference, ABiS International Symposium "Cutting Edge Techniques of Bioimaging"
    • 国際学会
  • [学会発表] ヒメツリガネゴケのAuroraキナーゼの解析2018

    • 著者名/発表者名
      幸節健
    • 学会等名
      第18回植物細胞周期合同セミナー

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公開日: 2019-12-27  

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