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2019 年度 実績報告書

乳がんの再発に関与する核内ノンコーディングRNAを介した新しい転写制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K21184
配分区分基金
研究機関公益財団法人がん研究会

研究代表者

市川 雄一  公益財団法人がん研究会, がん研究所 がん生物部, 研究員 (20632160)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2020-03-31
キーワードノンコーディングRNA / クロマチン / 細胞核 / ER陽性乳がん
研究実績の概要

本研究は、エストロゲンレセプター(ER)陽性乳がんにおいて高発現しているエレノアRNAの機能解明を通して、核内長鎖ノンコーディングRNAによる転写活性化の分子基盤を明らかにすることを目的とする。エレノアRNAは、細胞核内でRNA クラウドと呼ばれる集合体を形成しERの発現を活性化すると考えられているが、その詳しい分子機構は明らかになっていない。エレノアRNAは細胞のがん化や乳がんの治療耐性化との関与が示唆されていることから、本研究によって得られる成果は、がん細胞が治療抵抗性を獲得するメカニズムの一端を明らかにするものであり、再発がんの診断や治療標的の同定につながると期待される。
これまでに、エレノアRNAとクロマチンとの相互作用に着目し研究を行い、エレノアRNAを標的としたChromatin Isolation by RNA Purification(ChIRP)法による解析系を確立した。本年度は、エレノアRNAと共沈降したゲノムDNAを次世代シーケンサーを用いて網羅的に解析し、ゲノムワイドでエレノア相互作用領域を明らかにすることに成功した。また、昨年度に引き続き、エレノアRNAクラウドの形成を促進、または阻害する分子標的薬の探索を行った。その結果、mTOR阻害薬であるRapamycinや、BET阻害薬であるJQ1によって、エレノアRNAおよびESR1の発現量が低下することを明らかにした。さらに、液-液相分離(LLPS)と呼ばれる現象が、エレノアRNAクラウドの形成と維持、さらにはESR1遺伝子座の転写活性化に関与するという知見を得た。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Nucleosome destabilization by nuclear non-coding RNAs2020

    • 著者名/発表者名
      Fujita Risa、Yamamoto Tatsuro、Arimura Yasuhiro、Fujiwara Saori、Tachiwana Hiroaki、Ichikawa Yuichi、Sakata Yuka、Yang Liying、Maruyama Reo、Hamada Michiaki、Nakao Mitsuyoshi、Saitoh Noriko、Kurumizaka Hitoshi
    • 雑誌名

      Communications Biology

      巻: 3 ページ: -

    • DOI

      10.1038/s42003-020-0784-9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ER陽性乳がんで高発現している非コードRNA Eleanorsを介した転写活性化2020

    • 著者名/発表者名
      市川雄一、斉藤典子
    • 学会等名
      第20回関東ホルモンと癌研究会
  • [学会発表] Eleanor RNAクラウドを介した転写活性化機構2019

    • 著者名/発表者名
      市川雄一、斉藤典子
    • 学会等名
      RNAフロンティアミーティング2019
  • [学会発表] ER陽性乳がん細胞におけるEleanor RNAクラウドを介した転写活性化機構2019

    • 著者名/発表者名
      市川雄一、斉藤典子
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] ER陽性乳癌におけるEleanor非コードRNAの臨床的意義の解明2019

    • 著者名/発表者名
      福岡 恵、上野 貴之、市川 雄一、山本 達郎、齊藤 典子
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 乳がん細胞におけるGlyceollin Iのエストロゲンレセプター非依存的な増殖抑制機構の解析2019

    • 著者名/発表者名
      渡辺 健司、山本 達郎、市川 雄一、泉 厚志、落合 孝次、斉藤 典子
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] Eleanor RNAクラウドを介した転写活性化2019

    • 著者名/発表者名
      市川雄一、斉藤典子
    • 学会等名
      第37回染色体ワークショップ・第18回核ダイナミクス研究会

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公開日: 2021-01-27  

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