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2019 年度 実施状況報告書

リン酸化修飾によるER exit site形成制御メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K21188
配分区分基金
研究機関秋田大学

研究代表者

前田 深春  秋田大学, 医学系研究科, 助教 (40823422)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード小胞体 / 分泌 / TANGO1 / Sec16 / ER exit site
研究実績の概要

ER exit siteは1細胞あたり数百個存在する小胞体上の分泌小胞形成ドメインであり、細胞周期や栄養状態によって数・大きさ・局在を変化させることで、分泌を調節する。しかしER exit siteの形態を制御する分子メカニズムは不明である。
研究代表者は先に、ER exit siteでコラーゲンの分泌を補助する膜タンパク質である TANGO1がER exit siteの形成に関与することを見出した。さらにTANGO1のプロリンリッチドメインが、ER exit siteの足場タンパク質 Sec16と結合し、二者の結合がER exit siteの形成に必要であることを明らかにした。また最近、TANGO1のプロリンリッチドメイン近傍にリン酸化の報告が多数蓄積する領域 (PPS)を見出し、この領域のリン酸化状態によってTANGO1とSec16の結合親和性が調節されていることを見出した。
本年度、研究代表者はTANGO1をリン酸化するキナーゼの探索を行い、カゼインキナーゼ1δ(CK1δ)がTANGO1のPPS領域を直接リン酸化することを明らかにした。またCK1δの過剰発現時や発現抑制時において、ER exit siteの形態が変化することを見出した。さらに各種阻害剤を用いたスクリーニングにより、TANGO1の脱リン酸化にはプロテインホスファターゼ1(PP1)が関与することを見出した。以上の結果は、CK1δによるTANGO1のリン酸化とPP1によるTANGO1の脱リン酸化により、TANGO1のリン酸化状態が調節され、ER exit siteの形態と分泌が制御される可能性を強く示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度、研究代表者はER exit siteの形成制御とTANGO1のリン酸化修飾に関与する因子として、新たにカゼインキナーゼ1δ(CK1δ)とプロテインホスファターゼ1(PP1)を同定した。CK1δおよびPP1は細胞分裂と関連する因子であることから、細胞周期依存的なER exit siteの形態制御メカニズムを解明する上で大きな足掛かりになると考えられる。

今後の研究の推進方策

本年度、研究代表者はER exit siteの形成制御とTANGO1のリン酸化修飾に関与する因子として、カゼインキナーゼ1δ(CK1δ)とプロテインホスファターゼ1(PP1)を同定した。PP1は細胞分裂期においてCyclinB1/CDK1複合体によってリン酸化されることで、分裂期特異的にホスファターゼとしての活性が低下する。細胞分裂と小胞体からの分泌の関連については既に複数の知見が存在し、TANGO1のリン酸化修飾が関与する可能性も考えられる。今後はCK1δおよびPP1によるTANGO1のリン酸化修飾が様々な生理的環境下でどのように変化するかを明らかにし、TANGO1のリン酸化の上流に存在するシグナル経路およびER exit siteの形態制御の生理学的意義の解明を目指す。

次年度使用額が生じた理由

当初の予定より、消耗品費および旅費が節減できたため次年度使用額が生じた。
令和二年度において研究代表者は、細胞周期とER exit siteの形態制御との関係性について引き続き解析を行う。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Not just a cargo receptor for large cargoes; an emerging role of TANGO1 as an organizer of ER exit sites2019

    • 著者名/発表者名
      Saito Kota、Maeda Miharu
    • 雑誌名

      The Journal of Biochemistry

      巻: 166 ページ: 115~119

    • DOI

      10.1093/jb/mvz036

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] COPII proteins exhibit distinct subdomains within each ER exit site for executing their functions2019

    • 著者名/発表者名
      Maeda Miharu、Kurokawa Kazuo、Katada Toshiaki、Nakano Akihiko、Saito Kota
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 9 ページ: 7346

    • DOI

      10.1038/s41598-019-43813-3

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Mitotic ER exit site dissociation and reassembly are regulated by phosphorylation status of TANGO12019

    • 著者名/発表者名
      Maeda,M., Komatsu, Y., Saito, K.
    • 学会等名
      Gordon Research Conferences, Molecular Membrane Biology
    • 国際学会
  • [学会発表] cTAGE5 acts as a Sar1 GTPase regulator for collagen export2019

    • 著者名/発表者名
      Maeda, M.,Sasaki,N., Shiraiwa, M., Yorimitsu, T., Sato, K., Katada, T., Saito, K.
    • 学会等名
      Gordon Research Conferences, Molecular Membrane Biology
    • 国際学会
  • [学会発表] 細胞周期に応じたリン酸化による分泌調節機構2019

    • 著者名/発表者名
      前田 深春、小松 幸恵、齋藤 康太
    • 学会等名
      第70回日本薬理学会北部会
  • [備考] 秋田大学大学院医学系研究科 情報制御学・実験治療学講座

    • URL

      https://www.med.akita-u.ac.jp/department/gs/kenkyu-org/kouza.php?koza=yakuri

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公開日: 2021-01-27  

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