現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、第一に、本研究で焦点を当てている減数分裂期前後の分化ステージの生殖細胞の単離に成功した。マウスまたはブタ精巣をコラゲナーゼ及びトリプシンを用いて細胞懸濁液を調整した後、フローサイトメータを用いて、精原細胞、プレレプトテン期精母細胞、レプトテン・ザイゴテン期精母細胞、パキテン期精母細胞の4つのステージに分離し採取した。免疫染色法にて分離した細胞の精製度を評価した。第二に、分離した細胞から全RNAを抽出し、SMART-Seq v4キットを用いてRNA-seqライブラリを作製し、次世代シーケンサーを用いて大規模配列取得を行った。また、分離した細胞を用いて、Omni-ATAC-seq法(Corces et al, 2017, Nat. Method)に従ってATAC-seqライブラリを作製し、次世代シーケンサーを用いて配列取得を行った。現在、分化段階特異的に変化するクロマチン開閉状態と遺伝子発現変化の関連を明らかにするためにデータ解析を進めている。第三に、核内オープンクロマチン領域を可視化するATAC-see法(Chen et al, 2016, Nat Method)に従ってマウス精子形成期の生殖細胞に見られるオープンクロマチン動態を可視化した。その結果、分化段階特異的にオープンクロマチンの局在やクラスタリングなどの挙動が変化することが明らかになった。現在、免疫染色との二重染色や、ブタ精子形成期の生殖細胞を用いるための実験系の最適化を行っている。以上から、本研究は概ね順調に進展していると判断した。
|