北海道大学病院精神科に通院もしくは入院中の双極性障害および大うつ病性障害患者を対象として、双極性障害および大うつ病性障害の診断は、Diagnostic and Statistical Manual of mental disorders、 fifth edition(DSM-5)に基づいて確認し、対象患者の年齢、性別、発症時の年齢、罹病期間、使用中の向精神薬を調査した。また、双極性障害および大うつ病性障害の臨床症状はハミルトンうつ病評価尺度およびヤング躁病評価尺度を用い全ての項目を評価した。MRI 撮像はPhilips 社の3 テスラのMRI 装置であるAchieva TX)とSENSE-head-32 coil を用い、白質の評価のため拡散尖度画像を撮像し、同時に解析に必要なT1強調画像を撮像した。DKI データはDiffusional Kurtosis Estimator version 2.6.0 を使用して抽出を行い、その後T1 強調画像をStatistical Parametric Mapping version 12により分割化した。その後、T1強調画像をテンプレートに正規化し、その変換指標を拡散尖度画像にも適応した。双極性障害 3名、大うつ病性障害 8名のリクルートが終了した。現在、症例数が予定より少ない集計となっているため、暫定的にはなるが結果を解析中であり、双極性障害の患者群において、前頭部の一部でMRI指標の一部が有意に低下している可能性が示唆された。今後も症例数の蓄積をすすめ、さらなる解析をすすめる予定である。 また、同時期に当院第二内科との共同研究で、安静時機能MRIを用いてリウマチ脊椎炎患者と健常者とを比較し、fronto-orbital cortexとtemporal poleで異常な機能的結合を呈していることを検出し、その異常な機能的結合部位が治療効果と有意に相関すること見出した。
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