本研究は、脳で炎症応答を担うとされるミクログリアとうつ病の関係の解明を目指し、以下の成果を得た。①ヒトのストレスに近似しているとされている社会的敗北ストレスモデルマウスを確立し、不安様行動とうつ様行動を確認した。②社会的ストレスにより、海馬CA1領域のミクログリアの空間分布密度が増加し、突起の短縮や分岐の減少などの形態学的変化が生じた。③抗炎症作用が報告されている植物由来エストロゲン類縁体ゲニステインを投与したところ、うつ様行動やミクログリアの変化の一部に改善がみられた。ミクログリアは社会的ストレスによるうつ病治療において重要な標的となる可能性が考えられる。
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