研究課題/領域番号 |
18H06100
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
古田 未有 東北大学, 薬学研究科, 助教 (40819299)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | ラジカル環化 / カスケード反応 / 不斉反応 / 生物活性天然物 / インドールジテルペン |
研究実績の概要 |
近年、単純な構造の低分子化合物を中心とした創薬が行き詰まる中、複雑な骨格の天然物をモチーフとした中分子化合物が注目されている。中でも、生合成的に異なる系統の化合物によって構成されるハイブリッド型中分子化合物は、それぞれが持つ元来の生物活性とは異なる活性を示すことが期待されており、極めて魅力的な医薬シーズである。本研究では、多環性インドールアルカロイドとジテルペンのハイブリッド型化合物に着目し、未だ開発されていない官能基許容性の高い多環性テルペン骨格の一挙不斉構築法を創製する。さらに、開発した手法をパキシリンやペニトレムなどの生物活性天然物の合成に適用して本反応の汎用性を立証するとともに、創薬研究に貢献し得るハイブリッド型生物活性化合物の網羅的合成を目指す。 ハイブリッド型化合物の多環性テルペン骨格は、収束的に調製した鎖状の環化前駆体から温和な条件でラジカルを発生させ、カスケード環化を用いて一挙に構築することとした。本年度は、パキシリンをモデル化合物として多環性テルペン骨格の一挙不斉構築法を開発することとした。市販の原料から5段階でホスホン酸ジエステルを有するカルボン酸を合成した。この際、保護基も除去され収率の低下を招いたが、保護基としてTIPS基を用いると収率が改善した。続いて、分子内Horner-Wadsworth-Emmons反応とアルキル化を経由した5工程で、痕跡量ながらパキシリンのCDE環部に相当する鎖状の環化前駆体を合成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
鍵反応を検討するための環化前駆体の合成が難航しているため。
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今後の研究の推進方策 |
パキシリンのCDE環部に相当する環化前駆体を調製できたので、鍵反応であるラジカルカスケード反応を検討する。望みの環化が進行した場合は不斉反応を検討する。開発した手法をパキシリンの全合成に適用し、本反応の汎用性を立証する。
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