創薬において,候補化合物の物理化学特性がしばしば製剤化の断念につながり,主要問題の1つである。この問題の解決法に,医薬品候補化合物の分子科学的複合化による溶解性や生物学的利用の改善の向上が提案されている。共結晶は分子科学的複合化法の1つである。水素結合ネットワークの形成によって2つ以上の分子が複合化し,物理化学的特性が変化することが知られている。しかし,主薬分子が共結晶化可能であるかどうか,良好な組み合わせについては未解明な点が多く,膨大な主薬原末と有機溶媒を用いた非効率的なスクリーニングが現状である。この問題を解決するために,医薬品情報や共結晶の水素結合ネットワーク形成の温度応答性や物理化学的特性変化を各種分光や熱分析などの測定データを基にデータマイニングによる詳細な物理化学情報を抽出する報告を行った。
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