研究実績の概要 |
私は、視交叉上核AVPニューロン群で特異的にGABAが放出できない、サーカディアンリズム障害マウスにおいて、AVPニューロンのカルシウムリズムと、動物行動リズムとの関係性が崩れることを、ファイバーフォトメトリー法を用いて見出した(Maejima, Tsuno et al., submitted)。視交叉上核AVPニューロン特異的に小胞GABAトランスポーターをノックアウトしたマウス(AVP-Vgat-/-)において、動物行動リズムに異常が起こることが、私の所属する研究室において発見された。しかしながら、視交叉上核ニューロンの活動にどのような変化が見られるかは不明であった。そこで私は、ファイバーフォトメトリー法を用いて自由行動下マウスの視交叉上核AVPニューロンの長時間記録を行い、通常ではカルシウムリズムのピークが動物行動の終了時点に対応するが、ノックアウトマウスでその関係性が崩れていることを見出した。 本研究において申請者は、視交叉上核ニューロンの活動を細胞種特異的に計測するシステムを構築した。細胞活動に伴うカルシウム濃度上昇を検出するために、脳内から蛍光を検出するファイバーフォトメトリー法を用いた。当初は退色の影響が大きく、日内リズムを観察することが難しかったが、励起光強度、励起・記録時間、励起光源の種類に関する条件検討を行い、方法を確立した。AVPニューロンのカルシウム活動を15日間という長期にわたり連続記録することに成功した。加えて、個体の活動を同時に記録する系を立ち上げた。そして、AVPニューロン活動の日内変動が、個体レベルの日内変動とどの程度同期しているのかを、AVPニューロン特異的遺伝子改変マウスを用いて明らかにした。
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