研究課題
2006 年にOh-Iらによって発見された新規のペプチドであるnesfatin-1は摂食抑制作用を有し、視床下部・延髄を含め、脳内に広く分布する。nesfatin-1 はレプチン抵抗性を示す肥満患者においてもその摂食抑制作用を発揮するため、nesfatin-1 の摂食調節における役割を明らかにすることにより、新たな肥満治療につながるのではないかと期待されているが、nesfatin-1 の 摂食抑制機構は不明な点がまだ多い。従って、中枢内nesfatin-1含有ニューロンの生理学的役割に注目し、キスペプチンやニコチンを用いた薬剤誘発性、もしくは脳脊髄炎モデルであるEAEの病態モデルを用いて、摂食抑制モデルと中枢内でのnesfatin-1 の関連性について検討した。成熟Wistar ratを用い、最初にキスペプチンを脳室内投与し、nesfatin-1ニューロンとオキシトシンニューロンの活性化をFosを用い検討、次にオキシトシン受容体アンタゴニストを前投与しキスペプチンの脳室内投与を行った。その結果、視床下部のSONやPVNのオキシトシンニューロンがARCのnesfatin-1ニューロンを活性化し、摂食抑制を引き起こすことが示された。同様に、ニコチンの皮下投与およびEAEモデルを用い、nesfatin-1ニューロンとFosの二重免疫染色を行ったところ、視床下部のSONやARCでnesfatin-1含有ニューロンの活性化を認め、摂食抑制効果の経路の一部がnesfatin-1ニューロンと関連していることが示唆された。nesfatin-1は今後摂食抑制や肥満改善治療のためのキーとなるペプチドである可能性がある。
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Peptides
巻: - ページ: -
10.1016/j.peptides.2020.170313.
巻: 112 ページ: 114~124
10.1016/j.peptides.2018.12.003