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2018 年度 実績報告書

脳マラリアと血液脳脊髄液関門に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18H06139
配分区分補助金
研究機関群馬大学

研究代表者

今井 孝  群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10513434)

研究期間 (年度) 2018-08-24 – 2020-03-31
キーワードマラリア / 脳マラリア / 血液脳脊髄液関門
研究実績の概要

マラリアは人類が克服すべき最重要課題の一つです。脳マラリアは、マラリアの死因の一つでありその発症メカニズムの解明が求められています。脳には「血液脳関門」と「血液脳脊髄液関門」と呼ばれる2つの関門が存在し、様々な物質の移動が制限されています。脳マラリアでは血液脳関門が破綻することで引き起こされていると考えれれています。しかしながら血液脳脊髄液関門の破綻の有無については不明です。そこで本研究では、マラリアと血液脳脊髄液関門の関係の解明を目指しました。
げっ歯類マラリア原虫であるPlasmodium berghei ANKA株をC57BL/6 マウスに感染させると脳神経症状(脳マラリア)を呈し死にいたることが知られています。血液脳関門の破綻はエバンスブルーという色素をマウスの静脈内に投与することで調べることが出来ます。この色素は低分子であり、通常のマウスにおいては脳において血管透過性を示すことはなく、脳マラリア発症マウスにおいては血液脳関門が破綻し脳実質に浸透していき脳が青く染色されます。
血液脳脊髄液関門の破綻はどう評価するかですが、これもやはり同じエバンスブルーを用います。脳には大槽とよばれる部分があり筋肉を剥離することで、肉眼で透明のクモ膜および脳脊髄液を通して直接脳を観察することができます。
脳マラリア発症マウスにおいてエバンスブルーを注入すると脳脊髄液中に色素が侵入し大槽の部分が青く染色されることが観察されました。これは脳マラリアにより血液脳脊髄液関門が破綻していることを示す証拠となります。どの程度、色素が侵入したかを調べるには、脳脊髄液を取り出して定量する必要がありますが、得られる液体はごく僅かで困難なため、写真をとり画像解析による定量法を確立しました。さらに、脳マラリアを引き起こさない原虫では、血液脳脊髄液関門は破綻しないことも確認しました。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

血液脳脊髄液関門の破綻の評価法を確立して、脳マラリアにおいてのみ血液脳脊髄液関門が破綻することを見出しました。脳マラリアを引き起こさない原虫を使った実験は次年度を計画していましたが当初の計画を前倒しして研究を行いました。

今後の研究の推進方策

今後は、マラリア感染後にすぐ抗マラリア薬による治療を行い、脳マラリアの発症の有無を確認するとともに、血液脳脊髄液関門の破綻がおきているかを確認します。
脳マラリアによる血液脳脊髄液関門の破綻のメカニズムの解明を目指します。例えばマウスにおいては、免疫細胞により血液脳関門が破壊されていることが証明されていますので、血液脳脊髄液関門においても同様かを免疫抑制剤あるいは、抗体投与による免疫細胞の除去により明らかにします。この時に血液脳関門も同時に測定することで、2つの関門の破綻の具合が全く同じなのかどうか比較検討します。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Chimeric Plasmodium falciparum parasites expressing Plasmodium vivax circumsporozoite protein fail to produce salivary gland sporozoites2018

    • 著者名/発表者名
      Catherin Marin-Mogollon, Fiona J. A. van Pul, Shinya Miyazaki, Takashi Imai, Jai Ramesar, Ahmed M. Salman, Beatrice M. F. Winkel, Ahmad Syibli Othman, Hans Kroeze, Severine Chevalley-Maurel, Arturo Reyes-Sandoval, Meta Roestenberg, Blandine Franke-Fayard, Chris J. Janse and Shahid M. Khan
    • 雑誌名

      Malaria Journal

      巻: 17 ページ: 291

    • DOI

      10.1186/s12936-018-2431-1

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] OX40 stimulation enhances protective immune responses induced after vaccination with attenuated malaria parasites2018

    • 著者名/発表者名
      Ahmad Syibli Othman, Blandine M. Franke-Fayard, Takashi Imai, Esme T. I. van der Gracht, Anke Redeker, Ahmed M. Salman, Catherin Marin-Mogollon, Jai Ramesar, Severine Chevalley-Maurel, Chris J. Janse, Ramon Arens and Shahid M. Khan.
    • 雑誌名

      Front Cell Infect Microbiol

      巻: 8 ページ: 247

    • DOI

      10.3389/fcimb.2018.00247

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] CD8T 細胞は細胞傷害性分子によりマクロファージと協調してマウス赤内期マラリア感染防御に働く2019

    • 著者名/発表者名
      今井 孝, 石田 英和, 鈴江 一友, 谷口 委代, 岡田 紘子, 下川 周子, 久枝 一
    • 学会等名
      第88回日本寄生虫学会大会
  • [学会発表] ネズミマラリア原虫感染における病態形成への腸内細菌の関与2019

    • 著者名/発表者名
      谷口 委代, 鈴江 一友, 今井 孝, 下川 周子, Olia Alex, Thanhha Ngo, 久枝 一
    • 学会等名
      第88回日本寄生虫学会
  • [学会発表] Suppression of obesity by norepinephrine produced in parasitic infection2019

    • 著者名/発表者名
      下川 周子, 小尾 誠司, 柴田 実央子, Olia Alex, 今井 孝, 鈴江 一友, 久枝 一
    • 学会等名
      第88回日本寄生虫学会
  • [学会発表] 「スポロゾイト、メロゾイト、T細胞、赤血球」、 あなたはどの細胞が好き?2018

    • 著者名/発表者名
      今井 孝
    • 学会等名
      第26回分子寄生虫学ワークショップ/第16回分子寄生虫・マラリア研究フォーラム合同大会
    • 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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