本研究では癌組織で見られる様々な形態がどのように形成されるのかを追求した。癌組織の形態は病理診断を下す際に重要な情報となるものであるが、それらの形態が実際にどのような癌細胞の性質に繋がるのかは明らかではなかった。今回の研究成果から、隣接組織に浸潤した癌細胞が浸潤した先で効率よく増殖する(≒浸潤部位の形態を肥厚化させる)ためには細胞外基質の分解能と細胞間の接着が重要であることが明らかになり、さらにその性質が転移にも影響することが分かった。具体的なメカニズムとして細胞集団内におけるアクトミオシン活性の偏在が重要であることが判明したため、今後はこの機構を標的とした治療法の開発につながると期待できる。
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