研究課題/領域番号 |
18H06150
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
鯨岡 聡子 昭和大学, 歯学部, 助教 (90824673)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | オルガノイド / 唾液腺腫瘍 / 腫瘍関連遺伝子 / 機能解析 / ES細胞 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、マウスES細胞より誘導した唾液腺オルガノイドを用いて、唾液腺腫瘍関連遺伝子の腫瘍発生における機能について解明することにある。近年、一部の唾液腺腫瘍において特徴的な遺伝子変異(唾液腺腫瘍関連遺伝子)が報告されている。しかしながら、当該遺伝子の腫瘍発生における役割を直接的に示した報告は未だない。その理由として、これまでの唾液腺腫瘍関連遺伝子に関する報告は、ヒト検体を用いた解析が主流であることが挙げられる。申請者の所属研究室では2018年にマウス唾液腺の発生段階をin vitroで再現することで、マウスES細胞から機能的な3次元唾液腺オルガノイドの作製に成功した。このオルガノイドは細胞ソースとしてES細胞を用いており、CRISPR-Cas9システムなどのゲノム編集技術の応用が可能である。これより、この唾液腺オルガノイドは特定の遺伝子の機能を解析することが可能なモデルであると考える。 2018年度はES細胞の維持培養および唾液腺オルガノイド分化誘導方法についての技術を習得し、効率よく唾液腺オルガノイドを分化誘導することが可能となった。現在のところ、一定の分化誘導効率でマウスES細胞から唾液腺オルガノイドを分化誘導できている。また唾液腺腫瘍関連遺伝子の中から遺伝子導入を行う候補遺伝子については、文献的考察を重ねた結果、複数の遺伝子を選び、現在ES細胞への遺伝子導入に着手している段階である。上記に加え、ES細胞由来唾液腺オルガノイドをマトリゲルを用いて成熟させる培養法についても現在検討中である。このin vitroでの成熟方法が確立されれば、野生型ES細胞由来唾液腺オルガノイドと遺伝子改変ES細胞由来唾液腺オルガノイドの形態的変化をリアルタイムで比較することが可能となる。この培養法を用いて唾液腺腫瘍発生過程を観察し、唾液腺腫瘍関連遺伝子の腫瘍発生への関与を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度はES細胞の維持培養および唾液腺オルガノイドの分化誘導方法についての技術習得を行った。現在のところ、一定の分化誘導効率でマウスES細胞から唾液腺オルガノイドを分化誘導できている。唾液腺腫瘍関連遺伝子については文献的考察を重ね、現時点ではPLAG1およびMybに着目し、piggyBack vectorを用いての導入についてベクターを準備している段階である。また、マトリゲルを用いた培養によりES細胞由来唾液腺オルガノイドをin vitroにおいて成熟させる培養法についても、現在検討中である。In vitroでの成熟方法が確立されれば、野生型ES細胞由来唾液腺オルガノイドと遺伝子改変ES細胞由来唾液腺オルガノイドの形態的変化をリアルタイムで比較することが可能であり、唾液腺腫瘍発生過程を観察できる可能性が考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は唾液腺腫瘍関連遺伝子として報告されている遺伝子のうち、現時点ではPLAG1およびMybをpiggyBack vectorを用いてマウスES細胞に導入し、唾液腺腫瘍関連遺伝子を過剰発現させた唾液腺オルガノイドを作出する。また、マトリゲルを用いた培養によるES細胞由来唾液腺オルガノイドの成熟させる培養法を確立させた後に、遺伝子改変ES細胞由来唾液腺オルガノイドの形態的変化をリアルタイムで比較し、唾液腺腫瘍関連遺伝子が唾液腺腫瘍発生のどの過程に関与しているのか解析を予定している。
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