研究課題
研究活動スタート支援
食道扁平上皮癌に対する化学放射線治療は有効な治療方法であるが、治療開始前に治療効果を予測することは困難である。本研究では治療前の患者12名より血液を採取してその中に含まれるマイクロRNAを測定し、その後の再発の有無との関係を検討した。検討した2632種のマイクロRNAのうち26種において、再発の有無で血中発現量に違いがみられた。特にこのうち、再発患者で低値であったmiR-107については、他のがんで放射線治療への感受性を高める影響が知られており、今後の治療ターゲットとなる可能性が示された。
放射線腫瘍学
本研究は、miR-107をはじめ数種類の血中マイクロRNAが、食道扁平上皮癌に対する化学放射線治療の効果の予測に有効である可能性を示した。この知見がより大規模な研究で確認されれば、治療開始前に化学放射線治療の効果を予測し、他の手術や抗がん剤治療との治療選択において患者や医師の意思決定の助けとなることが期待される。また、今回同定されたマイクロRNAに対する介入治療を開発することで、化学放射線治療の治療効果を高められることが期待される。