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2019 年度 実施状況報告書

プレシジョンケアを目指した抗がん薬起因性末梢神経障害予防に関する予測因子の検討

研究課題

研究課題/領域番号 19K21293
配分区分基金
研究機関国立研究開発法人国立がん研究センター

研究代表者

華井 明子  国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 特任研究員 (60826220)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード化学療法起因性末梢神経障害 / がん / リハビリテーション / precision care
研究実績の概要

抗がん薬起因性末梢神経障害(Chemotherapy Induced Peripheral Neuropathy; CIPN)は,抗がん薬の副作用として生じる手袋靴下型の永続的な手足のしびれ・痛みであり, 有効な治療や予防の手段が無く多くのがん患者が苦しんでいる状況があった.そこで,冷却を行うと末梢血流量が減少し末梢組織の抗がん薬曝露量が低下して,副作用の発症頻度が下がる,という仮説のもと,冷却療法がCIPN 予防に有効であることを示した(以下,冷却研究).本研究の目的は冷却研究で得た客観的指標と自覚症状の時系列データを解析し,CIPN の症状増悪および冷却療法の予防効果へ影響を与える因子を明らかにし,患者の個人レベルで最適な治療を提供する基盤を構築することである.
冷却研究では一律に利き手側手足を介入側とした左右比較デザインを採用し,結果を恣意的に操作することが困難でありかつ糖尿病性末梢神経障害の検査法として広く用いられているSemmes - Weinstein Monofilament test(触覚閾値検査)をPrimary Endpointとした.冷却研究のデータ解析の結果,累積投与量の多い患者ほど発症リスクは高い一方で,冷却時の表皮温度変化の影響や血中薬物動態による影響は検出されなかった.これらは冷却試験のサンプルサイズの少なさも影響している.一方,欧州,米国,シンガポールにおいて,冷却研究と同様の臨床試験の結果がPublishされ,それらのReviewが発表され,ガイドラインへの収載も示唆されたため,国内外で冷却療法導入の機運が高まっていた.そこで,先行研究データの結果に基づき機械学習による予測を含めた解析手法の導入を検討するとともに,国内の冷却実施状況の調査の準備をすすめる予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

予測と異なる解析結果が得られたことと,研究の方向性の見直しが必要となった点が研究進捗が遅れた理由である.冷却研究のデータ解析の結果,累積投与量の多い患者ほど発症リスクは高い一方で,冷却時の表皮温度変化の影響や血中薬物動態による影響は検出されなかった.冷却研究では少ないサンプルサイズであるが,個人内比較は測定されないリスク因子と薬剤暴露や代謝様式といった根本的な個体差から生じるバイアスを排除したため,リスク因子を検出するには不向きな集団であった可能性が高い.一方,欧州,米国,シンガポールにおいて,冷却研究と同様の臨床試験の結果がPublishされ,それらのReviewが発表され,ガイドラインへの収載も示唆されたため,国内外で冷却療法導入の機運が高まっていた.そこで,先行研究データの結果に基づき機械学習による予測を含めた解析手法の導入を検討するとともに,個人レベルで最適な治療を提供する基盤を構築するという本研究の目的を達成するために国内の冷却実施状況の調査の準備をすすめる予定である.

今後の研究の推進方策

主に研究方法論と最適な臨床への実装方法について検討を行う.両手両足を冷却する場合には患者の不快感が上昇することを考慮する必要があるが,個体内左右比較デザインは少ないサンプルサイズで副作用の予防効果を調べる一助となる臨床試験デザインであると考える.この試験デザインがもたらす結果の解釈について検討をすすめる.また先行研究データの結果に基づき機械学習による予測を含めた解析手法の導入を検討する.個人レベルで最適な治療を提供する基盤を構築するという本研究の目的を達成するために,国内においてどのようなデバイスでどのような方法であれば手足冷却の実施が可能であるか明らかにするために,現在冷却を実施できている施設の状況を調査すべく準備をすすめる.

次年度使用額が生じた理由

当該年度においては研究成果の公表を行うことができず、公表を次年度に先送りすることとなったため、研究期間を延長し、学会参加と論文投稿の費用に充てる。

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公開日: 2021-01-27  

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