まず免疫沈降法と質量分析法を組み合わせて同定したTHORプロモーターに結合する可能性の高い5個の転写因子・転写関連因子候補について、siRNAを用いた遺伝子発現抑制実験を、THORを高発現している肺非小細胞がん細胞株において行った。そして個々の転写因子・転写関連因子を発現抑制した際のTHORの発現変化と、THORのプロモーター活性の変化を、それぞれqRT-PCR法とLuciferase assay法により確認した。その結果、5個中2個の転写因子について、それらの発現抑制によるTHORの発現低下と、THORのプロモーター活性の低下が確認できた。これらのまたこれらの転写因子の発現抑制による細胞増殖の低下もIncucyteを用いて確認した。以上の表現型の変化は、THORを高発現している別の肺非小細胞がん細胞株においても確認することが出来た。 次に、化合物のTHORの転写制御点への直接的あるいは間接的な影響を調べるため、市販薬1200個の低分子化合物ライブラリー治療時におけるTHORのプロモーター活性をluciferase assayを用いて計測した。そして、THORの転写制御点に作用する可能性のある化合物候補を抽出した。 現在は、個々の化合物の治療におけるTHORのプロモーター活性の変化とTHORの発現変化、さらにそれに伴う細胞増殖の変化を再確認しており、それらの結果をもとにTHOR高発現がんに対する新規治療薬の開発に繋げていきたいと考えている。
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