①in-vitro実験においてイソプロテレノールにより肥大シグナルを誘発されたラット心筋芽細胞 H9C2 に対し KUS剤投与によって肥大が抑制されることを確認した。また心不全に大きく関与すると思われる小胞体ストレスを引き起こす数種類の薬物投与下で小胞体ストレスマーカーであるCHOPやBip等のタンパク変化をウェスタンブロットで確認したところ、KUS剤により減少することが確認された。 ②in-vivo実験においては心肥大から心不全に移行するマウス圧負荷心不全モデルに対し KUS投与実験を行った。その結果 KUS剤に心肥大からの心不全の進展また心不全の悪化を抑制効果がある事が判明した。また心筋梗塞マウスモデルでも非虚血部位の代償性肥大の抑制があることが確認された。両モデルとも肥大シグナルを反映するANPやBNP等も減少傾向を認めた。これらの事象から薬剤の直接のTargetを調べるためRNAシークエンスを行い肥大シグナルに関する遺伝子を中心に解析を続けている。またVCP ATPase Knock-in mice等を作成しKUS剤のTargetを解析する計画を考えている。 ③成ラット心臓から心筋細胞単離を行い、心筋の収縮力を反映するといわれるカルシウム動態の測定を行っている。実験条件の調整に難航し十分な結論を見いだせていないが、KUS剤によるATP保持が十分であればカルシウム動態も変化するはずで期待がもてる実験である。 ④KUS剤の心機能に対する急性効果を調べるためブタでの実験を考えていたが、予算関係でなされていないが、この研究は基盤研究Cに引き継がれるため、次年度以降行う予定である。
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