研究実績の概要 |
本研究では純粋な脳小血管病(SVD)を有するヒト疾患脳に対して従来の薄切片における病理学的解析と,組織透明化による高解像度3D病理学的解析手法を用いて,認知症の原因となる白質変性の発生機序解明を試みることを目的とする.本年度は,脳小血管病の剖検脳を用い,まず免疫染色を用いた詳細な2D解析を行った。結果,SVDの白質変性においては軸索よりも髄鞘脱落が先行すること,arterioleを中心として変性が広がることを明らかにした.次に,ヒト脳剖検サンプルの3D蛍光イメージングを実施するため、透 明化後の褐色状の自家蛍光の抑制,脱脂の迅速化に取り組み,新規プロトコールを開発した(Inoue, Saito, Kakita, Tainaka, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, in press).処理後の組織は、グリア細胞や髄鞘、血管、軸索に加えて、老人班やリン酸化タウ、リン酸化シヌクレインといった病変マーカーの抗原性が高度に維持されていることを確認した。次年度は,2D解析を行った部位の血管の配向,平滑筋脱落部位などを3D解析で明らかにする.
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