研究課題
多発性硬化症(MS)患者66例の頭部MRI撮影及びHLAタイピングを施行し、罹病期間とMRIパラメータの関係から脳容積の減少速度、及び病巣体積の増加速度とHLAの関係について解析を行った。HLA-DRB1*15:01保有者では、非保有者と比較し、全脳容積、脳白質容積の減少速度が速かった。また、HLA-DRB1*04:05保有者では、非保有者と比較してFLAIR及びT1病巣体積の増加が緩徐であった。いずれのHLA遺伝子も脳灰白質容積の減少とは関連していなかった。DRB1*15:01とDRB1*04:05はいずれも日本人MSにおける疾患感受性遺伝子であるが、MSの進行においてそれぞれの疾患感受性遺伝子で異なるメカニズムが機能していることが示唆された。また、脳萎縮同様、障害進行と密接な関わりをもつ脊髄萎縮についても検討した。各椎体レベルで脊髄断面性の計測を行い、疾患障害度などの臨床パラメータとの関連について解析を行った。その結果、MSでは頸髄断面積、胸髄断面積がExpanded Disability Status Scale スコアと関連していることを見出した。MSの脊髄断面積と遺伝子の関連を調べることもMSの疾患進行の病態を明らかにする上で有用と考えられた。全ゲノム解析(GWAS)を行うために症例数を増やし、MS患者130例・健常対照者22例の頭部並びに脊髄MRI撮影が終了した。健常対照者と比較した場合のMS患者の各脳部位や脊髄の萎縮パターンの算出を行った上、GWASでも各脳容積や病巣体積、脊髄断面積とHLA領域に関連があるかを確認し、その他にこれらと関連する遺伝子があるかについてもあわせて報告する予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Journal of the Neurological Sciences
巻: 413 ページ: 116768~116768
10.1016/j.jns.2020.116768
European Journal of Neurology
巻: 27 ページ: 92~99
10.1111/ene.14038