研究課題
1型アンジオテンシンII(Ang II)受容体(AT1受容体)の過剰活性化は、高血圧・脂質異常症・糖尿病の発症・進展に関わる。ATRAP(AT1 receptor-associated protein)はAT1受容体の過剰活性化を抑制する内在性分子である。本研究では、「組織局所でのATRAPの発現あるいは活性が、高血圧・脂質異常症・糖尿病の発症・進展に関与し、ATRAPの発現制御により高血圧・脂質異常症・糖尿病を制御できる」との仮説を検証するために遂行された。Cre-LoxPシステムにより、近位尿細管特異的ATRAP欠損マウスを作製した。作成した近位尿細管特異的ATRAP欠損マウスでは、野生型マウスと比較して、近位尿細管におけるATRAP mRNA発現量は約80%減少を認めた。一方、遠位尿細管におけるATRAP発現量は、近位尿細管特異的ATRAP欠損マウスと野生型マウスで同等であった。次に近位尿細管特異的ATRAP欠損マウスおよび対照野生型マウスに、慢性アンジオテンシンII(Ang II)刺激を行い、血圧および心腎障害に与える影響を検討した。近位尿細管特異的ATRAP欠損マウスでは、Ang II慢性持続投与による血圧上昇は野生型マウスと同等であった。さらに、Ang II刺激による心肥大反応は、近位尿細管特異的ATRAP欠損マウスと野生型マウスで同等であった。一方、近位尿細管特異的ATRAP欠損マウス、野生型マウスともにAng II刺激により明らかな腎障害は認めなかった。
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