研究課題
急性腎障害 (AKI) は、多臓器不全の一部として発症することが多く、遠隔臓器障害によってAKIが発症・増悪する。病原体DNAセンサーであるAbsent in Melanoma 2 (AIM2)は、インフラマソームと呼ばれるタンパク質複合体を形成して炎症を惹起する。本研究では、遠隔臓器障害に伴った壊死細胞DNAが腎実質に到達してAKI発症に関与するという着想のもと、DNAによる腎AIM2インフラマソーム活性化とその寄与を明らかにしようと試みた。遠隔臓器傷害の代表的なモデルとして、マウスにおける横紋筋融解症によるAKIモデルを作成した。まず、AKIにおける細胞外DNAの寄与を評価する目的で、横紋筋融解症マウスにDNaseを投与したところ、腎機能増悪・腎尿細管傷害と炎症の軽減が認められた。続いてAIM2欠損マウスを作成し、野生型との間で横紋筋融解症AKIの病態変化を比較したところ、予想に反しAIM2欠損によって24時間後の腎傷害と腎機能、炎症性サイトカイン発現に差異は認められなかった。さらにAIM2欠損マウスでは炎症細胞浸潤が増加しており、腎機能回復が遅れて線維化が増悪することが判明した。現在、その病態の責任細胞同定のための解析を行っている。また細胞実験において、マクロファージはDNAに反応してAIM2依存的に炎症性サイトカインIL-1βを分泌しパイロプトーシスを起こすが、腎尿細管細胞ではパイロプトーシスは誘導されなかった。AIM2欠損マクロファージではIL-1βは分泌しないものの細胞死が誘導され、異なる細胞死経路が示唆された。AIM2欠損細胞での細胞死の誘導機構について解析を進めている。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 2件) 備考 (1件)
iScience
巻: 23 ページ: 101070~101070
10.1016/j.isci.2020.101070
Journal of Cellular Physiology
巻: - ページ: -
10.1002/jcp.29659
Journal of Molecular and Cellular Cardiology
巻: 138 ページ: 185~196
10.1016/j.yjmcc.2019.11.158
Cell Death & Disease
巻: 11 ページ: -
10.1038/s41419-020-2334-2
American Journal of Physiology-Heart and Circulatory Physiology
巻: 318 ページ: H508~H518
10.1152/ajpheart.00559.2019
American Journal of Transplantation
10.1111/ajt.15773
Nature Reviews Nephrology
巻: 15 ページ: 501~520
10.1038/s41581-019-0158-z
Scientific Reports
巻: 9 ページ: -
10.1038/s41598-019-46504-1
The Journal of Immunology
巻: 203 ページ: 236~246
10.4049/jimmunol.1900168
Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 519(1) ページ: 15-22
10.1016/j.bbrc.2019.08.083
http://www.jichi.ac.jp/inflammation/index.html