研究課題/領域番号 |
18H06219
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
鷲田 和夫 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (60467488)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | CADASIL / ラクナ梗塞 / NOTCH3遺伝子 |
研究実績の概要 |
1996年に遺伝性脳小血管病のひとつであるCADASIL (Cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy)の原因遺伝子としてNOTCH3遺伝子が同定され、単一遺伝子変異による脳血管障害の存在が明らかになった。 CADASIL患者では大脳白質病変が徐々に進行し、中年期からラクナ梗塞を繰り返し、徐々に認知症や運動機能障害が進行する。遺伝性脳小血管病では最も頻度の高い疾患で、欧州では10万人あたり4-15人の患者が存在するとされている。しかしながら近年、NOTCH3遺伝子変異が示された症例でもCADASILに典型的な臨床徴候を示さない例が存在することが明らかになってきた。 本研究では従来のCADASILの概念に当てはまらない脳血管障害、特にラクナ梗塞についてもNOTCH3遺伝子変異が関与している可能性があるとの仮説を立て、国立循環器病研究センターに入院したラクナ梗塞患者を対象としてNOTCH3遺伝子の全シークエンス解析を行い、ラクナ梗塞患者における遺伝的素因の解明を目的として本研究を立案した。 2011年1 月~2018年4月にラクナ梗塞の診断で国立循環器病研究センターに入院となった全777例の内、大脳白質病変 (Fazekas分類grade 2以上)を有する患者または60歳未満の患者の合計85人のNOTCH3遺伝子変異を解析した。 合計85人のラクナ梗塞患者の内、4人即ち4.7%ににNOTCH3変異を認めた。ラクナ梗塞患者は従来考えられていた以上に高率にNOTCH3遺伝子変異を有する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年1 月~2018年4月にラクナ梗塞の診断で国立循環器病研究センターに入院となった全777例の内、大脳白質病変 (Fazekas分類grade 2以上)を有する患者または60歳未満の患者の合計85人のNOTCH3遺伝子変異を解析した。 合計85人のラクナ梗塞患者の内、4人即ち4.7%ににNOTCH3変異を認め、ラクナ梗塞患者は従来考えられていた以上に高率にNOTCH3遺伝子変異を有する可能性が示唆された。本研究の当初の目的であるラクナ梗塞患者におけるNOTCH3遺伝子多型の保有率の解析は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2011年1 月~2018年4月にラクナ梗塞の診断で国立循環器病研究センターに入院となった全777例の内、大脳白質病変 (Fazekas分類grade 2以上)を有する患者または60歳未満の患者の合計85人のNOTCH3遺伝子変異は既に解析した。 今後は、残り692例のラクナ梗塞患者のNOTCH3遺伝子解析を行っていく予定である。
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