研究課題
研究活動スタート支援
脳腫瘍や急性骨髄性白血病などの難治性がんに共通して見つかるIDH遺伝子変異は、オンコメタボライト2-HGを産生することでがん促進的な効果を示すと考えられる。一方で、2-HGは細胞内で働く広範な酵素に影響を及ぼすことから、IDH遺伝子変異がどのようにがんの増殖・維持に機能しているか未解明な部分が残る。本研究では、白血病細胞でがん促進的に働くアミノ基転移酵素BCAT1が2-HGにより阻害されることを発見し、2-HGの持つがん抑制的な側面を明らかにした。
腫瘍分子生物学
難治性がんに共通して見つかるイソクエン酸脱水素酵素IDH遺伝子変異は、がん細胞特異的に変異型IDH (mutIDH)タンパク質を発現させることから、有効な治療標的である。しかし、実際のIDH阻害薬を用いた治療では再発の問題が残る。今回、2-HGの標的因子として新たにがん促進因子であるBCAT1を同定した。今後、IDH阻害薬使用時にBCAT1再活性化が引き起こされるか調べることで、再発を防ぐ治療戦略に繋がることが期待される。