研究課題
研究活動スタート支援
本研究では、大動脈瘤治療薬の開発に繋げるために、マクロファージ特異的に効果を発揮する抗体製剤の開発を目的とした。マウス骨髄由来マクロファージをLPS添加により刺激するとNALP3蛋白が増加するが、抗NALP3抗体の導入によりLPS刺激後のNALP3蛋白増加を顕著に抑制することに成功した。限られた条件下ではあるが、マクロファージ内への抗体導入という新たなコンセプトの治療法により、マクロファージ特異的に瘤関連の炎症分子発現を抑制できる可能性を明らかにした。
外科学 心臓血管外科学
大動脈瘤は破裂による突然死を来たし、高齢者男性死因の上位を占める疾患である。大動脈瘤の治療法は外科的治療に限られているため、全身副作用の無い安全な薬物療法の開発が待ち望まれている。本研究の成果が、大動脈瘤に対する抗体製剤の開発と実用化に繋がれば、多くの大動脈瘤患者が無侵襲に治療可能となり、患者予後の改善が期待される。また、大動脈瘤のみならず広く慢性炎症性疾患に対して、新たな作用機序の抗炎症薬の提供に繋がる。