研究実績の概要 |
広義原発開放隅角緑内障患者(POAG)において、既知の原因遺伝子およびLMX1B遺伝子のエクソン内に希少変異を有する症例が存在するとの仮説を検証するために、既知の原因遺伝子であるミオシリン、オプティニューリン、TBK1遺伝子および新規の候補遺伝子であるLMX1B遺伝子についてシークエンスを行い、POAGとの関連を検証した。 該当基準を満たしたPOAG患者190名のDNAを用いて、ミオシリン、オプティニューリンの全てのエクソン領域について、サンガー法を用いてシークエンスを実施した。またTBK1遺伝子についてはPCR法を用いてCNVのコピー数を解析した。LMX1B遺伝子の全8エクソンを含むコーディング領域について、ダイレクトシークエンスを実施した。検出された変異の頻度についてデータベースを参照して検証し、認められた変異が原因遺伝子であるかを、アメリカの遺伝学会が定めるACMGガイドラインに基づいて決定した。 既知の原因遺伝子における希少変異探索の結果、オプティニューリン遺伝子、ミオシリン遺伝子のエクソン内に希少変異が認められた。特にオプティニューリン遺伝子のエクソン内に認められた変異のひとつはこれまで報告のないものであり、ACMGガイドライン上も原因遺伝子変異と判定される極めて重要な遺伝子変異が同定された。また、LMX1B遺伝子における希少変異探索の結果、エクソン内に2つの多型が認められた(rs2277158, rs13295990)。しかしながら、一般集団の頻度との相違は認められず、現時点においてはLMX1B遺伝子内に希少変異を認める症例は認めていない。 今後は希少変異が認められた症例の家族解析および変異と臨床情報との関連解析などさらなる検証を行っていく予定である。
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