研究実績の概要 |
前年度にて、黄斑外来の治療歴がない初診患者より、早期加齢黄斑変性(ドルーゼン)および後期加齢黄斑変性(滲出型・萎縮型加齢黄斑変性)を有する患者を全て抽出し、加齢黄斑変性に関わる一塩基多型について解析を行った。 本年度では1251人2502眼を対象と判断し、検査画像を読影を行い、一塩基多型検索結果を含めて解析した。Retractile drusenの有病率は全体の7.2%(1251人中91人)であったが、萎縮型加齢黄斑変性において40.7% (47人中22人)と高率に認めた。また長期経過として、初診時および最終受診時の比較において、一般線形混合モデル解析を行い、refractile drusenは網膜色素上皮および網膜外層萎縮の発生に有意に影響していた(P=0.026)ことから、萎縮型加齢黄斑変性に大きく関与していることが明らかとなった。一方で、refractile drusenは脈絡膜新生血管の発症には関与しておらず、本研究では滲出型加齢黄斑変性の発症の強い要因とは言えない可能性が示唆された。 また遺伝学的背景について、一塩基多型ARMS2 A69S (rs10490924)のリスクアレル頻度は、refracile drusenを認める症例において有意に高く(78.1% vs 56.4%, P<0.001)、一方で CFH I62V (rs800292), CFH Y402 (rs1061170)のリスクアレル頻度にrefractile drusenの有無は関与していなかった。 以上より、refractile drusenは網膜萎縮、萎縮型加齢黄斑変性に深く関連し、遺伝学的背景としてARMS2の一塩基多型に関与することが明らかとなった。
|