本研究により、高齢不妊患者の老化した着床前期胚では炎症性の分泌因子であるCXCL5の発現が上昇し、胚自らが分泌するCXCL5により質の低下が引き起こされ、その結果着床率が低下することを確認した。また、マウス胚を用いた動物実験により、高齢マウス胚のCXCL5を胚の培養中に中和抗体を用いて抑制することで、胚の細胞増殖が促進され着床率の改善効果が認められた。CXCL5の抑制は胚の発生には影響せず、CXCL5抑制高齢マウス胚の遺伝子発現は若齢マウス胚の発現にある程度類似していくことが確認された。また、CXCL5抑制胚由来の産仔に異常は見られなかったことから、安全に臨床応用ができると考えられた。
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